促進転型正義委員会

促進転型正義委員会（促轉會）とは

促進転型正義委員会（そくしんてんけいせいぎ-いいんかい、繁体字：促進轉型正義委員會、略称：促轉會）は、中華民国（台湾）行政院に設置された第二級独立機関です。この委員会は、台湾における移行期正義（政権移行期における過去の不正義の清算）に関連する事項を担当する、ミッション志向の独立行政委員会として機能しました。

設立の背景と目的

促轉會は、促進転型正義条例（移行期正義促進条例）に基づき設立されました。その主な目的は、過去の権威主義独裁時代に焦点を当て、以下の事項を計画・推進することでした。

歴史的真実の回復: 過去の出来事に関する正確な情報を明らかにし、歴史認識の歪みを正す。
政治公文書の公開: 過去の政府活動に関する文書を公開し、透明性を確保する。
司法不正の平定: 過去の司法判断における不正を是正し、公正な司法制度を確立する。
社会和解の促進: 過去の対立を乗り越え、社会全体の和解を目指す。
不適切な党資産の処理と活用: 過去の権力乱用によって蓄積された不適切な党資産を適切に処理・活用する。

設立と活動

2017年12月5日、立法院で促進転型正義条例が可決され、2018年5月31日に促轉會が正式に設立されました。本部は台北市大安区に置かれました。促進転型正義条例では、促轉會は2年の任期を持つ任務中心の機関とされ、必要に応じて行政院長の同意を得て延長が可能でした。設立以来、2回延長が行われました。

任務の完了と後継組織

2022年5月30日、促轉會は段階的な任務を完了し、促進転型正義条例の規定に従って解散しました。その後、行政院は行政長官を招集者とする「移行期正義委員会」を設置し、移行期正義に関する事項を担当する6つの主要な省庁と委員会を追加しました。

論争点

促轉會の活動は、一部から批判も受けています。

国民党政権の否定との批判

委員会は民進党政権下で設置されたため、国民党政権の否定を目的としているという批判があります。過去の権威主義時代に対する調査や責任追及が、特定の政治的立場に基づくものではないかという懸念が指摘されています。

共産主義工作員の名誉回復

促轉會の取り組みによって名誉回復された政治犯の中には、共産主義勢力の工作員や共産主義者も含まれており、その取り組みに疑問を呈する声もあります。

名誉回復を受けた楊慕容は、中国共産党の衛星政党である中国民主同盟のメンバーであり、スターリンや共産主義を称賛していました。また、敵対勢力を暴力で排除する思想を持っており、スパイとして処刑されました。彼の処刑が適切だったかという議論はありますが、中華人民共和国では殉教者として扱われています。同様に、中国共産党のスパイとして処刑された陳宝倉も名誉回復を受けています。

これらの名誉回復に対して、現在の政府が共産主義の工作員を民主主義の先駆者として称えているという批判があります。

関連事項

中華民国の政治

外部リンク

* 促進転型正義委員会

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