行政院

中華民国行政院：最高行政機関の組織と歴史

中華民国における最高行政機関である行政院は、日本の内閣と各省庁を合わせたような存在です。行政院長は首相に相当し、中華民国総統によって直接任命されます。行政院は、国民の生活に直結する政策決定と執行を行う重要な機関です。

行政院の組織

行政院の意思決定の中核となるのは行政院会議です。これは日本の閣議に相当し、行政院長、副院長、秘書長、副秘書長、各部会の長（大臣）、そして政務委員（無任所大臣に相当）らによって構成されます。その他の行政組織の長も出席できますが、議決権はありません。さらに、台北市、新北市、桃園市、台中市、台南市、高雄市の市長も出席可能ですが、議決権はありません。

2010年の行政院組織法改正により、行政院の組織は大幅に再編されました。従来の39組織から、14部、8委員会、2処、1行、1院、3独立機関の合計29組織へと整理統合されました。ここでいう「部」は日本の「省」に、「部長」は「大臣」に相当します。「委員会」はそのまま「委員会」で、主任委員は「委員長」に相当します。

部

行政院には、内政、外交、国防、財政、教育、法務、経済、交通、環境、農業、衛生福利、文化、労働、数位発展といった多岐にわたる分野を管轄する14の部があります。特に、環境部と農業部は2023年にそれぞれ環境保護署と農業委員会から昇格しました。数位発展部は2022年に新設された比較的新しい組織です。

委員会

行政院には、僑務、客家、金融監督管理、国家発展、国軍退除役官兵輔導、原住民族、海洋、大陸、国家科学技術といった分野を管轄する委員会が8つあります。

その他の組織

行政院には、主計総処、人事行政総処といった処や、中央銀行、国立故宮博物院といった独立機関も含まれます。また、過去には存在していたが現在は廃止された組織もあります。

行政院の歴史

行政院は1928年、国民革命軍による北伐完了後に設立されました。当初は10部から構成されていましたが、1947年の中華民国憲法公布に伴い、「中華民国における最高行政機関」として位置づけられました。憲法起草当初は内閣制に近い概念が採用され、行政院長は立法院の同意が必要でした。しかし、国共内戦や戒厳令体制下では、総統の権力が強まり、行政院の役割は変化しました。李登輝総統時代以降の民主化によって、行政院は総統の輔弼機関としての役割を担うようになっています。

行政院庁舎

行政院庁舎は、台北市中正区にあります。1940年に台北市役所として建設された建物で、日本統治時代のモダニズム建築を代表する建造物です。現在は国家古蹟（国定史跡）に指定されています。

まとめ

行政院は、中華民国の政治において中心的な役割を担う最高行政機関です。その組織構成や歴史を理解することは、中華民国の政治システムを理解する上で不可欠です。本稿では、行政院の組織、歴史、庁舎について詳細に解説しました。今後の研究では、行政院と立法府、司法府との関係性、行政院の政策決定プロセス、行政院の効率性などについてさらに検討を進めていく必要があるでしょう。

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