保利眞直

保利眞直の生涯と業績

保利眞直（ほり まさなお、1860年12月22日 - 1929年12月6日）は、日本の明治から昭和初期にかけて活躍した著名な眼科医であり、医学博士として知られています。彼は陸軍軍医学校の校長を務め、さらには宮内省侍医寮の御用掛としても重要な役割を果たしました。最終的には陸軍軍医監の地位にまで昇進し、正四位・勲三等・功四級の位階と勲等を得ました。

幼少期と教育

九州の唐津藩に生まれた保利は、父が典医を務めていた影響で医療への関心を強めました。1887年には東京帝国大学医科大学を卒業し、同期には猪子吉人といった著名な人物がいました。大学卒業後、彼は日本陸軍の講習生として進み、最初は陸軍三等軍医に任官され、様々な医療現場での経験を積みました。

海外留学と専門領域の確立

1893年、保利はドイツのベルリン大学に留学し、眼科学を学びます。その後、イタリアやオーストリア、さらにはフランスの大学でも学び続け、1896年に帰国。帰国後は日清戦争における陸軍省の公式記録作成や「陸軍薬局方」の編集に関わり、学問と実務の両方で活躍しました。

軍医学校長としての功績

1901年に日露戦争が勃発する中、彼は復職し、東京第一衛戍病院の長を務めることになります。そして1911年に陸軍軍医学校長に任命され、教育分野でも大きな足跡を残しました。軍人となる前に教育を受ける医療従事者たちを育成し、その後の戦争における医療体制の基盤を築いたといえるでしょう。

宮中での重要な役割

1914年には宮内省侍医寮の御用掛に就任し、天皇や皇族に対する医療を行う一方で、独自に開業もしていました。特に1921年に発生した「宮中某重大事件」においては、色盲遺伝に関する医療上の見解を求められ、重要な報告書『保利調書』を作成。この事件は後の皇位継承に多大な影響を与えました。

著作と論文

保利は多岐に渡る著作を残しています。眼科医としての専門知識を生かし、幾つかの論文や著書を発表。特に「眼科学 全3巻」や「小眼科学」などは、当時の眼科学の基礎知識を学ぶための重要な参考文献とされています。これらの著作は後の医療従事者にとって、貴重な資源となりました。

最後の時期と功績の評価

1929年12月に保利は69歳で亡くなりましたが、その業績は多くの後進の医師に引き継がれ、今日に至るまで影響を与えています。青山霊園に埋葬され、多くの人々から尊敬され続ける存在です。彼の遺した医療界への貢献は、今も感じられるものがあります。

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