保坂誠

保坂誠(1910年10月28日-1996年6月14日)は、日本の実業家として、東京ドームの建設に大きく貢献した人物です。中国旧満洲遼陽で生まれ、激動の時代を生き抜きました。慶應義塾大学法学部卒業というエリートコースを歩み、満洲中央銀行での勤務を経て、1950年に株式会社後楽園スタヂアム(現・東京ドーム)に入社します。

後楽園スタヂアムでのキャリアは順調に進みます。1957年には取締役となり、着実に経営手腕を磨いていきます。そして1978年、満を持して取締役社長に就任。彼のリーダーシップのもと、後楽園スタヂアムは新たな飛躍を目指します。

保坂の最大の功績は、何と言っても日本初の屋根付き多目的ドーム球場である東京ドームの建設です。1988年の完成は、日本のスポーツ界、そしてエンターテインメント業界に大きな変革をもたらしました。悪天候に左右されない快適な観戦環境の提供は、観客動員数の増加に繋がり、スタジアムビジネスにおける新たなモデルケースとなりました。東京ドームの建設は、単なる建築事業を超え、日本のスポーツ・エンターテインメント文化の発展に貢献した歴史的偉業と言えるでしょう。

スポーツへの貢献は、東京ドーム建設だけにとどまりません。1980年には、日本ボクシングコミッションの第4代コミッショナーに就任。ボクシング界の発展にも尽力しました。コミッショナーとしての活動では、不正や問題行為への厳格な対応と、スポーツマンシップの浸透に努め、ボクシング界の健全な発展に貢献したと評価されています。

経営者として、そしてスポーツ界の指導者として、多方面で手腕を発揮した保坂誠。彼の功績は、日本のスポーツ史に大きな足跡を残しました。85歳で逝去した彼は、1996年に野球殿堂より特別表彰を受けました。これは、東京ドーム建設を始めとした彼の功績が、日本の野球界、ひいては日本のスポーツ界全体に計り知れない影響を与えたことを示す、最高の賛辞と言えるでしょう。

保坂誠の人生は、激動の時代を生き抜き、自身の能力と経験を活かして日本のスポーツ界に大きな貢献をした、まさに波乱万丈な物語です。彼の功績は、これからも長く人々の記憶に刻まれることでしょう。

もう一度検索