保安局 (満洲国)

満洲国保安局は、1937年（康徳4年）12月に設立された秘密情報機関です。満洲国建国後、国内では旧軍閥の残党や盗賊的匪賊に加え、ソ連、中国国民党、中国共産党といった反体制勢力が活発に活動していました。特に中国国民党は、満洲国の官吏に多くの党員を潜入させており、治安維持における深刻な脅威となっていました。

当時の警察組織は多民族で構成されており、情報漏洩のリスクが高かったため、より高度な機密性を有する組織が求められました。そこで、組織の存在自体が秘密とされる保安局が、警察の一部局を偽装する形で設置されました。保安局は関東軍と密接な関係を持ち、関東軍特務機関のメンバーが指導に当たりました。

保安局の第一線で活動する地下組織は「特別偵諜班」と呼ばれ、そのトップである総班長と班長は全て日本人で構成されていました。また、職員の養成機関として、1944年（康徳11年）には「緑園学院」が極秘裏に設立されました。

保安局の組織は以下の通りです。（1944年時点）

第一科（総務）
第二科（調査）
第三科（一般防諜）
第四科（外事防諜）
第五科（諜報）
第六科（無線防諜）
不正電波捜査隊
第七科（通信防諜）
第八科（秘密戦科学）
緑園学院

保安局の主な任務は以下の通りです。

防諜活動（スパイ行為の摘発）
諜報活動（敵対勢力の情報収集）
国内一般情勢の掌握（社会情勢の把握）

保安局は、その高度な秘密性と活動内容から、満洲国における重要な情報機関としての役割を担っていました。

参考文献

満洲国史編纂刊行会編『満洲国史 各論』満蒙同胞援護会、1970年

関連項目

満洲国
満洲国の警察
情報機関
関東軍

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