保安通信協会

一般財団法人保安通信協会（保通協）の概要

一般財団法人保安通信協会（以下、保通協）は、パチンコ、パチスロ、アレンジボール、雀球といった遊技機の型式試験を主な業務とする機関です。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づき、国家公安委員会から指定試験機関として認定されています。保通協の型式試験は、遊技機が法律で定められた基準を満たしているか確認するもので、遊技機の製造・販売に不可欠なプロセスです。

保通協の歴史

保通協は1982年5月、「財団法人保安電子通信技術協会」として設立されました。1985年2月には、国家公安委員会から遊技機試験の指定試験機関として指定を受け、試験業務を開始しました。その後、2012年4月に「一般財団法人保安通信協会」に改組・改称しています。長い歴史の中で、日本の遊技機業界の発展に貢献してきました。

保通協の業務：型式試験

保通協の主要な業務は、遊技機の型式試験です。遊技機メーカーは、新型遊技機の発売前に保通協に試験を申請します。申請された遊技機は、保安通信協会が定めた厳しい基準に基づいて、書類審査と実機試験が行われます。試験項目は多岐にわたり、機械的な動作、電気的安全、不正操作への対策、出玉率など、あらゆる面がチェックされます。

試験に合格すると、型式試験結果書が交付され、遊技機は販売できるようになります。しかし、試験に不合格の場合は、設計を見直し、再度申請する必要があります。そのため、機種名に「＊＊＊2」や「＊＊＊A」といった英数字が付加されていることがありますが、これは試験に落ちた機種を修正して再申請するため、別の機種として扱っているためです。また、試験合格後も、各都道府県の公安委員会の検定を受ける必要があり、さらにホールへの設置後にも警察による検査が行われます。

型式試験の手数料は高額で、パチンコ機は約152万円、パチスロ機は約181万円（いずれも内税）とされています。このため、メーカーは、試験に合格する確実性を高めるため、類似機種を複数同時に申請したり、子会社を設立して申請枠を増やすなどの戦略をとることがあります。また、型式試験に合格しても、様々な事情により発売されないケースも多く存在します。

都道府県によっては独自の規制があり、特定の機種が設置できない場合もあります。例えば、役物に関する規制が厳しいため、メーカーがその地域向けに特別な仕様の機種を開発することもあります。

保通協のその他の業務

保通協は、遊技機の型式試験以外にも、警察や消防庁向けのシステム開発、コンサルティング、デジタルフォレンジック関連の研究開発など、幅広い業務を行っています。これらの業務を通じて、社会の安全・安心に貢献しています。

保通協の批判と課題

保通協は、その業務内容や組織運営に関して、様々な批判を受けてきました。役員に警察OBが多く、高コスト体質であること、検査期間が長いことなどが問題視されています。また、過去には、社会問題となった遊技機の試験合格が批判されたこともあります。

特に、パチスロ4号機や5号機においては、ストックの消去や、サブ基板を遠方から操作可能な構造など、試験の抜け穴を突いた機種が登場し、保通協の検査体制の甘さが指摘されています。

保通協以外の指定試験機関も存在しますが、競争は限定的であり、今後の更なる改革が求められています。

保通協と競合組織

長らく保通協が遊技機の型式試験を独占的に行っていましたが、近年では、GLI Japanなど、新たな指定試験機関が登場しています。これにより、競争環境が変化し、保通協の業務改善への圧力も高まっています。しかし、過去の申請不許可事例や、指定返上事例も多く、新たな競合組織の台頭は容易ではありません。

まとめ

保通協は、日本の遊技機業界に不可欠な存在であり、その役割は非常に重要です。しかし、その業務運営や組織体制には課題も残されています。今後、透明性と公平性を高め、社会の信頼を得ることが求められています。継続的な改善と改革により、より健全な遊技機業界の発展に貢献することが期待されます。

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