風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律：詳細解説

1948年（昭和23年）に制定された風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律（略称：風営法）は、日本の風俗営業に関する規制を定めた法律です。当初は「風俗営業取締法」として公布され、その後幾度かの改正を経て、現在の名称となりました。警察庁を主務官庁とし、厚生労働省、内閣府、法務省とも連携して執行されています。

歴史

風営法は、戦後まもなく制定され、当初は風俗営業の取締りを目的としていました。1950年代にはパチンコ店が規制対象に加わり、一方でビリヤードは除外されました。1959年には「風俗営業等取締法」に改称され、1966年にはトルコ風呂（現在のソープランド）が規制対象となりました。

1984年には大幅な改正が行われ、営業時間を午前0時までと制限、のぞき部屋やファッションマッサージなども届出対象となりました。麻雀店などにおける賞品提供や換金も禁止され、賞品を介した賭博が規制されました。この改正により、ノーパン喫茶が姿を消すなど、社会に大きな影響を与えました。

1998年の改正では、出張マッサージなどの無店舗型営業やインターネットを利用したアダルトビデオ送信営業が届け出対象となり、デリバリーヘルスが解禁、社交ダンスが一定条件下で規制除外となりました。

2005年の改正では罰則強化が図られ、公安委員会への営業届の提出と確認書の提示義務、客引き行為の禁止などが盛り込まれました。派遣型ファッションヘルスやSMクラブに関しても規制が強化されました。

2015年の改正では、ダンスやディスコが風俗営業の構成要件から外れ、営業形態の統合・整理が行われました。「特定遊興飲食店営業」の規定が追加され、深夜に客に遊興をさせ、アルコール飲料を提供する営業が対象となりました。また、日の出営業の開始時刻が「日の出」から「午前6時」に変更されました。

概要

風営法の目的は、風俗営業の適正化です。営業時間を制限し、営業区域を限定することで、青少年の保護や社会秩序の維持を図ります。しかし、1984年改正時に一部業種（5号営業など）については、対象設備の概念が不明確で違憲立法との批判がありました。

営業時間や営業区域は都道府県条例で定められますが、地域によっては祭礼などで延長が認められる場合があります。例えば、ゴールデンウィークや祭りの期間中は営業時間を延長できる地域もあります。また、年末年始は終夜営業が認められる地域もあります。

風営法は性風俗関連特殊営業の範囲を「異性を相手にした性的サービスを行う店」と定義しているため、同性愛を対象とした営業は対象外となります。

対象となる営業

風営法は、大きく分けて「風俗営業」「性風俗関連特殊営業」「特定遊興飲食店営業」「深夜における酒類提供飲食店営業」の4種類を対象としています。

風俗営業

都道府県公安委員会の許可が必要です。

接待飲食等営業: キャバレー、クラブ、ホストクラブ、キャバクラ、低照度飲食店（10ルクス以下の暗い喫茶店・バー）、区画席飲食店（カップル喫茶）など
遊技場営業: パチンコ店、麻雀店、ゲームセンターなど

性風俗関連特殊営業

都道府県公安委員会への届け出が必要です。店舗型、無店舗型、映像送信型など、様々な形態の営業が含まれます。ソープランド、ファッションヘルス、ストリップ劇場、ラブホテル、アダルトショップ、出会い喫茶、デリバリーヘルス、アダルトビデオ通信販売などが含まれます。

特定遊興飲食店営業

2015年の改正で追加されたもので、深夜に客に遊興をさせ、酒類を提供する営業（風俗営業でないもの）が対象です。ナイトクラブやディスコなどが該当します。公安委員会の許可が必要です。「風俗環境保全協議会」の設置が義務付けられています。

深夜における酒類提供飲食店営業

午前0時から午前6時までの間、酒類を提供する飲食店営業は、都道府県公安委員会への届け出が必要です。風俗営業に該当する業種は多くが届け出できません。

許可と届出

風俗営業を行うには公安委員会の許可が必要です。性風俗関連特殊営業や深夜の酒類提供飲食店営業は、許可ではなく届け出が必要です。性風俗営業の許可制については議論がありましたが、実態把握の観点から届出制が採用されました。ただし、廃業届の提出義務がないため、届出数と営業店舗数は一致しません。

結論

風営法は、社会情勢の変化に合わせて何度も改正されてきました。その目的は、風俗営業の適正化と青少年の保護ですが、その解釈や運用は複雑で、常に議論の的となっています。今後も社会情勢の変化に合わせて、適切な見直しが行われることが期待されます。

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