保定 (北周)

保定（ほてい）は、中国の南北朝時代、北周の武帝（在位：560年 - 578年）の治世で使用された元号です。具体的には、561年正月（旧暦）から565年12月（旧暦）までの5年間にわたって用いられました。

元号は、中国において皇帝の治世を区分し、年を数えるために用いられた称号であり、政治的な意味合いを持つものでした。保定という元号が用いられた時期は、北周が北斉との間で激しい勢力争いを繰り広げていた時代にあたります。

武帝は、北周の基礎を固めた宇文泰の息子であり、即位当初は叔父である宇文護の傀儡でしたが、後に宇文護を排除し、親政を開始しました。武帝は、中央集権化を進め、軍事力を強化することで、北斉に対する優位性を確立しようとしました。その一環として、元号を改元し、新たな時代を象徴する「保定」という言葉を選んだと考えられます。

「保定」という言葉には、「安定を保つ」という意味合いが込められていると考えられます。当時の北周は、内憂外患を抱えており、安定した政治を行うことが急務でした。武帝は、元号に「保定」という言葉を用いることで、国内の安定と対外的な平和を願ったのかもしれません。

保定の期間中、北周は北斉との間で数多くの戦いを繰り広げました。563年には、北周軍が北斉の都である鄴（ぎょう）を攻撃しましたが、陥落させることはできませんでした。しかし、その後も武帝は軍事力を強化し、577年には北斉を滅ぼすことに成功しました。この北斉の滅亡は、後の隋による中国統一への道を開く上で重要な出来事でした。

保定という元号は、北周の歴史において、武帝が親政を開始し、北斉との戦いを繰り広げた時代を象徴するものであり、その後の中国の歴史に大きな影響を与えた時代を物語る元号と言えるでしょう。

西暦・干支との対照表

保定の各年と西暦、干支の対応は以下の通りです。

保定元年：561年（辛巳）
保定二年：562年（壬午）
保定三年：563年（癸未）
保定四年：564年（甲申）
* 保定五年：565年（乙酉）

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