保寧府

保寧府は、中国の歴史において、元代から中華民国初期にかけて存在した行政区画です。その中心地は、現在の四川省北東部に位置し、時代とともにその管轄地域と行政機構を変化させました。

元代の保寧府

1276年（至元13年）、元王朝はそれまで閬州と呼ばれていた地域を保寧府に昇格させました。この府は広元路に属し、初期には閬中、蒼渓、南部の3県を管轄していました。この時点での保寧府は、元王朝の地方行政機構の一部として、この地域の統治を担っていました。

明代の保寧府

明代に入ると、保寧府は四川省に属するようになり、管轄する地域も拡大しました。この時代には、直属の県として閬中、蒼渓、南部、広元、昭化の5県を抱え、さらに巴州に属する通江、南江の2県、そして剣州に属する梓潼県も管轄下に置かれました。この結果、保寧府は2州8県を統括する広大な地域を治める府となりました。明代の保寧府は、その広大な領域を通じて、四川省の行政、経済、文化において重要な役割を果たしました。

清代の保寧府

清代においても、保寧府は四川省の管轄下にありました。清代の保寧府は、閬中、蒼渓、南部、広元、昭化、通江、南江の7県と、巴州、剣州の2州を管轄しました。この時代にも、保寧府は地域行政の中心としての役割を担い続け、地域社会の安定と発展に貢献しました。清代の保寧府は、その行政機構を通じて、地域経済の発展や社会秩序の維持に重要な役割を果たしました。

保寧府の廃止

1913年、中華民国が成立すると、保寧府は行政区画としての役割を終え、廃止されました。保寧府の廃止は、中国の近代化と地方行政制度の改革の一環として行われました。この府の廃止により、その後の行政区画は新たな体制へと移行しました。しかし、保寧府は、その歴史を通じて、この地域の政治、経済、文化に大きな影響を与え、今もなおその痕跡を留めています。

保寧府は、元代から清代、そして中華民国初期に至るまで、地域の歴史において重要な役割を果たし、その変遷は中国の地方行政制度の変遷を理解する上で重要な事例の一つと言えます。

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