保立一男

保立 一男（ほたて かずお）

保立一男氏（ほたて かずお）は、日本の政治家として茨城県神栖市の発展に貢献した人物である。長きにわたり、神栖町議会議員を5期務め、その後、神栖市長を3期務めた経歴を持つ。終戦間もない1945年9月15日、茨城県軽野村（現在の神栖市日川）に生を受けた。地元の教育機関で学び、1964年3月には千葉県立銚子商業高等学校を卒業している。

政治の世界への第一歩は、1988年の神栖町議会議員選挙であった。この選挙で初当選を果たし、以来、5期にわたって町議会議員として活動した。地域住民の声に真摯に耳を傾け、町政における様々な課題解決に尽力した。議員活動中の1998年9月には、町議会の議長に選出され、議会運営の中心的な役割を担った。多年にわたる議員としての実績に加え、政治活動と並行して、2003年8月からは保立運送の代表も務めるなど、実業界での経験も積んだ。

2005年8月1日、神栖町は波崎町と合併し、新たに神栖市として出発した。この市制施行に伴い、同年11月6日には初代神栖市長を選出する選挙が実施された。保立氏は、この歴史的な選挙に立候補し、現職の初代神栖市長であった岡野敬四郎氏との一騎打ちに臨んだ。市民の大きな期待を背負って行われた選挙戦の結果、保立氏は26,360票を獲得し、岡野氏の20,108票を上回り、見事に初当選を果たした。この選挙の投票率は67.97%に達し、市民の市政への関心の高さを示した。同日、保立氏は神栖市長に就任した（当時の任期開始日は12月6日とされた）。

神栖市長として、保立氏はその後3期にわたり市政を率いた。2009年の選挙で市民の信任を得て再選を果たし、さらに2013年の選挙でも三期目の当選を遂げ、長期にわたり神栖市の発展に貢献した。合併後の新しい市の基盤整備や市民生活の向上など、多岐にわたる施策に取り組んだ。その在任期間は合計で約12年間に及ぶ。

長年の地方自治への貢献が認められ、2018年には国から旭日小綬章を受章した。これは、地方自治の発展に寄与した人物に贈られる栄誉ある勲章である。

2023年7月2日、病のため、療養中の千葉県旭市にある総合病院国保旭中央病院で死去した。77歳没であった。その訃報は地域に大きな惜別をもたらした。逝去後、その功績に対し、日本政府は没日付をもって正五位に叙することを決定した。正五位は、故人の生前の功労を称える位階である。

保立一男氏は、町議会議員として5期、そして神栖市長として3期という長い期間にわたり、生まれ育った神栖の地のためにその政治手腕を発揮した。地方自治の発展に貢献した政治家として、その名は記憶されるであろう。

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