保立道久

保立道久

保立道久（ほたて みちひさ、1948年11月28日生まれ）は、著名な日本の歴史学者であり、東京大学史料編纂所の名誉教授である。彼は主に日本中世史を専門とし、学問の領域で顕著な業績を残している。

経歴

東京都に生まれた保立は、1973年に国際基督教大学を卒業した後、1975年に東京都立大学大学院人文科学研究科の修士課程を修了。1976年には東京大学史料編纂所の助手としてキャリアをスタートさせ、その後1987年には助教授、1995年には教授に昇格。2005年から2007年まで史料編纂所長を務めた後、2013年に定年退任した。

彼が特に注目を浴びているのは、歴史資料の電子化やデータベース化に早くから取り組んできたことだ。この努力の成果として、東京大学史料編纂所で公開されている古文書のフルテキストデータベースがある。これにより、多くの研究者や一般の人々がアクセスできる資料の整備が進み、歴史研究に新たな道を開いた。

さらに、保立は「九条科学者の会」の呼びかけ人としても活動し、文献や資料の重要性を広く訴えかけてきた。

著書

保立の著書は多岐にわたり、彼の専門知識と研究成果を反映したものとなっている。以下に彼の主要な著書を挙げる。

• - 『中世の愛と従属 絵巻の中の肉体』(1986年)
• - 『平安王朝』(1996年)
• - 『物語の中世 神話・説話・民話の歴史学』(1998年)
• - 『中世の女の一生』(1999年)
• - 『日本の歴史〈3〉平安時代』(1999年)
• - 『歴史学をみつめ直す 封建制概念の放棄』(2004年)

これらの著書は、保立が中世の社会構造や文化、特に女性の役割に関する独自の考察を展開している。

解説・監修・共編

また、彼は多くの作品の解説や監修にも関与しており、例えば『竹取物語絵巻』や『津波、噴火…日本列島地震の2000年史』などがある。これらの研究を通じて、歴史資料の理解を深めるべく尽力してきた。

保立は2018年に現代語訳として『老子』を出版し、中国哲学の重要な視点を日本語で紹介する取り組みも行っている。さらに、2021年には共編著として『能楽の源流を東アジアに問う』を出版し、学際的な視点から東アジアの文化を考察している。

影響と姿勢

保立道久は、歴史を研究する上での姿勢や方法論においても新しい視点を提供している。彼は歴史に対する深い洞察と批判的な考察を展開し、研究者や学生たちにとって貴重な指針となっている。彼の貢献は、過去の理解を深めるだけでなく、未来の研究の可能性を広げるものである。

もう一度検索