東京大学史料編纂所

東京大学史料編纂所の概要

東京大学史料編纂所は、東京大学に設置された研究機関で、国内外の歴史資料の調査・収集・複製・分析・公開を行っている。この機関は、歴史情報学の研究を進めることを目的としており、1793年に徳川幕府の支援を受けた塙保己一によって開設された和学講談所にその起源を持つ。近年では、先進的な写真技術やデジタル画像技術が活用され、資料の複写作業が行われている。

主な業務と活動

史料編纂所は、日本全国および世界各地の歴史資料を調査し、年間50件程度の資料収集が行われる。これらの活動には、主に資料の複製が含まれており、収集された資料は研究者や市民によって史料編纂所の閲覧室で使用されている。さらに、近年ではデジタル画像としても所内や閲覧室での検索・閲覧が可能であり、原本の所蔵者の許可を得た場合にはウェブ上でも公開されている。

部門構成

史料編纂所は、複数の専門部門に分かれており、それぞれの時代の歴史資料を専門的に扱っている。古代史料部門は古代から鎌倉時代まで、 中世史料部門は建武の新政から江戸幕府成立まで、近世史料部門は江戸幕府成立から廃藩置県までの資料を扱っている。また、古文書古記録部門では平安時代から戦国時代までの文書を研究し、特殊史料部門では資料学や歴史地理に関する基礎研究が行われている。

附属施設

史料編纂所には、画像史料解析センターと前近代日本史情報国際センターといった附属施設が存在し、前者では各種の画像資料の解析が行われ、後者は歴史情報データベースを活用した研究が推進されている。これらの施設は、古文書や絵画資料のデジタル化と解析技術の開発に寄与し、他の研究機関や学術界との連携を深める役割を果たしている。

資料の保存と出版

史料編纂所は、資料の保存に力を入れており、修復や影写、模写などの技術を用いて重要な歴史資料の保存・保護を行っている。これまでの活動によって制作された資料は、学術雑誌や書籍として多く出版されており、代表的なものには「大日本史料」や「大日本古文書」などが含まれ、いずれも重要な研究資源となっている。

所在地と歴史

東京大学史料編纂所は、東京都文京区本郷7-3-1、東京大学本郷キャンパス内の赤門近くに位置している。設立以来、歴史的な変遷があり、1888年に東京大学に移管され、1950年には文学部から独立した研究機関として発展してきた。

文化財の保護

史料編纂所には多くの国宝や重要文化財が保管されている。特に、島津家文書などはその中でも特に重要な資料として位置づけられており、文化財防止のための取り組みも行われている。これにより、歴史的資料が後世に渡って継承されるよう努めている。

東京大学史料編纂所は、過去の歴史資料を学び、保存し、公開することで、未来の歴史的理解を深める手助けをする重要な機関である。

もう一度検索