保谷車両管理所

西武鉄道の保谷電留線は、東京都西東京市に位置する鉄道施設です。

概要

この施設は、かつて「保谷車両管理所」という名称で、西武鉄道の重要な車両基地の一つとして機能していました。しかし、2000年3月の組織再編により、車両の管理業務は埼玉県飯能市に新設された武蔵丘車両管理所（現在の武蔵丘車両基地）へ集約・移管され、当施設は車両の配置されない「保谷電留線」へと役割が変わりました。

現在の主な役割は、保谷駅を始発または終着とする列車の留置場所として利用されることです。広大な敷地には複数の留置線が設けられており、最大で10両編成の列車を2本、8両編成の列車を6本収容することが可能です。これらの留置線は、日中の車両待機や夜間滞泊に活用されています。また、予期せぬ輸送障害が発生し、ダイヤが乱れた際には、保谷駅で運転を取りやめた列車を一時的に留置し、その後の運転再開に備える場所としても機能しています。

施設の一部には変遷が見られます。以前は使われていなかったピット線などが、電留線として再び使用されるようになりました（2018年現在）。敷地の入口付近には、西武鉄道の保谷総合事務所ビルが建設されており、過去に存在した検修棟や管理棟は撤去されています。夜間や早朝の運行に対応するため、以前は他基地から係員が派遣されていましたが、この係員派遣体制は2025年3月をもって終了しています。

歴史

保谷の車両基地の歴史は古く、その始まりは1922年（大正11年）10月に遡ります。西武鉄道の前身である武蔵野鉄道によって「保谷電車庫」として開設されました。開設後、複数回にわたって施設の増改築が行われています。

第二次世界大戦後には「保谷車両工場」（復興社保谷車両工場）と名称を変え、車両の検査、修繕、さらには製造業務まで担う拠点となりました。しかし、1950年（昭和25年）には、これらの車両工場としての主要な業務は、復興社所沢車両工場へと集約されることになります。

その後、「保谷車両管理所」として改称され、主に西武鉄道池袋線の車両管理を担当する重要な基地となりました。しかし、車両の増加や列車の編成が長くなるにつれて、既存の敷地では手狭になっていきました。このため、より広大な敷地を持つ武蔵丘車両管理所が新設されることになり、2000年（平成12年）3月、保谷車両管理所の組織・機能は武蔵丘へ移管されました。これにより、保谷は車両が日常的に所属する基地ではなくなり、電車の留置に特化した「保谷電留線」へとその役割と名称を改めることになったのです。

その他

かつて敷地の裏手には、鉄道職員、特に動力車操縦者のような専門的な資格取得を目指すための養成所が設けられていましたが、この施設は現在、東村山市秋津町に移転しています。

また、当施設には、歴史的な車両として、かつて西武鉄道で活躍した5形蒸気機関車5号機とE11形電気機関車12号機が、静態保存（実際に走行可能な状態ではない保存）されています。これらの車両は、過去に一般公開された実績もあります。

保谷の車両基地は、その設立から現在に至るまで、西武鉄道の歴史とともに変遷を遂げ、その役割を変化させながら利用され続けています。

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