信太時尚

信太時尚（しのだ ときなお）について

信太時尚は、1877年（明治10年）1月に生まれ、1922年（大正11年）9月23日に亡くなった、日本の内務官僚です。彼の生涯は、激動の時代を背景に、地方行政に尽力した官僚の姿を映し出しています。

生い立ちと学歴

信太時尚は、秋田県出身の士族、柿岡源十郎の次男として誕生しました。その後、信太家の養子となり、信太姓を名乗るようになります。学業においては、第二高等学校を経て、1902年（明治35年）に東京帝国大学法科大学を卒業しました。同年11月には、文官高等試験に合格し、その才能を早くから開花させました。

内務官僚としてのキャリア

大学卒業後、信太は司法省司法官試補を経て、内務省へと転じます。和歌山県、福井県、山梨県で事務官を歴任し、その後、滋賀県では港務部長、島根県では内務部長として地方行政に携わりました。また、長崎県では港湾部長を務めるなど、そのキャリアは多岐に渡りました。

しかし、この間、信太は呼吸器系の病気を患い、約2年間の休養を余儀なくされました。病からの回復後、高知県の内務部長、再び長崎県の内務部長を歴任し、その行政手腕を発揮しました。

富山県知事として

1921年（大正10年）12月、信太時尚は富山県知事に任命され、翌年1月12日に着任しました。しかし、着任直後から病気が再発し、入院生活を送ることになります。病床にあっても、信太は職務を全うしようと努め、特に常願寺川水系水力発電所建設計画の改革に力を注ぎました。その更生案を作成するなど、病と闘いながらも、その責任感と使命感を強く示しました。

突然の死

富山県知事として、その手腕を発揮することが期待された信太時尚でしたが、病には勝てず、1922年（大正11年）9月23日、在任中に亡くなりました。45歳という若さでした。彼の死は、地方行政に尽くした一人の官僚の生涯を惜しむものでした。

信太時尚の生涯は、明治から大正という激動の時代において、地方行政に携わった官僚の一つの典型を示しています。彼の功績は、日本の近代化を支えた人々の歴史として、記憶されるべきでしょう。

参考資料

歴代知事編纂会編『日本の歴代知事 第2巻上』歴代知事編纂会、1981年。
秦郁彦著、戦前期官僚制研究会編『戦前期日本官僚制の制度・組織・人事』東京大学出版会、1981年。
* 富山県編『富山県史 通史編 VI 近代』 富山県、1984年。

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