信州の伝統野菜

信州の伝統野菜とは

信州の伝統野菜とは、長野県が「信州伝統野菜認定制度」に基づき認定した、地域に根ざした貴重な野菜の品々です。この制度は、1991年（平成3年）に始まり、現在までに71品目（2015年5月時点）が認定されています。長野県は、多様な気候と地形に恵まれており、それぞれの地域で独特の野菜が育まれてきました。

認定基準

「信州の伝統野菜」として認定されるためには、以下の厳しい基準を満たす必要があります。

来歴: 昭和30年代以前から地域で栽培されてきた品種であること。
食文化: その品種を使った郷土料理や行事食が地域に伝承されていること。
種特性: その野菜固有の品種特性が明確であること。

これらの基準は、野菜そのものの品質だけでなく、地域の食文化との深い結びつきも重視している点が特徴です。また、これらの基準に加え、種子・種苗、栽培方法、生産体制の3つの生産基準を満たした生産者も認定する制度があります。さらに、伝統的な製法で作られた加工品も認定対象となっています。

信州伝統野菜認定委員会

認定にあたっては、生産、流通、消費に関する専門的な知識を持つ委員で構成された「信州伝統野菜認定委員会」が重要な役割を果たします。この委員会で諮問を行い、厳正な審査を経て認定が行われます。

多様な品目

信州の伝統野菜には、さまざまな種類があります。以下に主な品目を分類して紹介します。

漬け菜

源助蕪菜（げんすけかぶな）：飯田かぶ菜とも呼ばれます。
飯田冬菜（いいだふゆな）
稲核菜（いねこきな）
木曽菜（きそな）
諏訪紅蕪（すわべにかぶ）
野沢菜（のざわな）：言わずと知れた信州の代表的な漬け菜です。
羽広菜（はびろな）

ねぎ

千代ネギ（ちよネギ）
松本一本ねぎ（まつもといっぽんねぎ）
松代一本ねぎ（まつしろいっぽんねぎ）
駒屋ねぎ（こまやねぎ）

ピーマン・とうがらし

そら南蛮（そらなんばん）
ひしの南蛮（ひしのなんばん）
ぼたんこしょう（ぼたごしょう）
鈴ヶ沢南蛮（すずがさわなんばん）

なす

小布施丸なす（おぶせまるなす）
鈴ヶ沢ナス（すずがさわナス）
ていざなす

きゅうり

開田きゅうり（かいだきゅうり）
伍三郎うり（ごさぶろううり）
鈴ヶ沢うり（すずがさわうり）
清内路きゅうり（せいないじきゅうり）
中根うり（なかねうり）
八町きゅうり（はっちょうきゅうり）
羽淵キウリ（はぶちきゅうり）
番所きゅうり（ばんどころきゅうり）
乙事赤うり（おっことあかうり）
佐久古太きゅうり（さくこだいきゅうり）
松代青大きうり（まつしろあおだいきゅうり）
河童瓜（かっぱうり）

かぼちゃ

清内路かぼちゃ（せいないじかぼちゃ）
糸萱かぼちゃ（いとかやかぼちゃ）

うり

沼目越瓜（ぬまめしろうり）
本しま瓜（ほんしまうり）
松本越瓜（まつもとしろうり）

いちご

御牧いちご（みまきいちご）

いんげんまめ

穂高いんげん（ほたかいんげん）

ゆうがお

内鎌ゆうがお（ないがまゆうがお）

とうもろこし

もちもろこし

ばれいしょ

くだりさわ
下栗芋（しもぐりいも、下栗二度芋）
清内路黄いも（せいないじきいも）
平谷いも（ひらやいも）
むらさきいも

だいこん

上野大根（うえのだいこん）
親田辛味大根（おやだからみだいこん）
切葉松本地大根（きればまつもとじだいこん）
たたら大根（たたらだいこん）
戸隠大根（とがくしだいこん、戸隠おろし）
ねずみ大根（ねずみだいこん）
灰原辛味大根（はいばらからみだいこん）
前坂大根（まえさかだいこん）
牧大根（まきだいこん）
山口大根（やまぐちだいこん）
上平大根（わってらだいこん）
後山地大根（うしろやまぢだいこん）

かぶ

赤根大根（せいないじだいこん）：清内路蕪とも呼ばれます。
芦島蕪（あしじまかぶ）
王滝蕪（おおたきかぶ）
開田蕪（かいだいかぶ）
細島蕪（ほそじまかぶ）
保平蕪（ほだいらかぶ）
三岳黒瀬蕪（みたけくろせかぶ）
吉野蕪（よしのかぶ）

ごぼう

常盤牛蒡（ときわごぼう）
村山早生牛蒡（むらやまわせごぼう）

さといも

あかたつ：唐芋とも呼ばれます。
坂井芋（さかいいも）

にんにく

下條にんにく（しもじょうにんにく）
清内路にんにく（せいないじにんにく）

わさび

穂高山葵（ほたかわさび）：安曇野わさびとも呼ばれます。


これらの野菜は、それぞれの地域の気候風土と歴史の中で育まれ、独特の風味や食感を持っています。信州の食文化を語る上で欠かせない存在であり、その多様性は、長野県の豊かな自然と歴史を象徴していると言えるでしょう。

外部リンク

* 信州の伝統野菜（長野県農政部園芸畜産課）

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