ねずみ大根

ねずみ大根（鼠大根）とは

ねずみ大根は、アブラナ科の植物で、辛味大根の一種です。長野県埴科郡坂城町で主に栽培されており、信州の伝統野菜として認定されています。その特徴的な外観から、ネズミを連想させるとしてこの名前が付けられました。

特徴

外観

ねずみ大根の最大の特徴は、その形状です。根の部分が下ぶくれになっており、そこから細い根が尻尾のように伸びています。この姿がネズミに似ていることから、「ねずみ大根」と呼ばれるようになりました。

味

直径5〜10cmと小ぶりながら、非常に強い辛味を持っているのが特徴です。しかし、ただ辛いだけでなく、坂城町では「あまもっくら」と表現されるように、後味にはまろやかな甘みが感じられます。この辛味と甘味のバランスが、ねずみ大根の大きな魅力となっています。

歴史

ねずみ大根は、江戸時代に長崎から伝わったとされています。坂城町には、かつて宿場町として栄えた「鼠宿」がありますが、この地名がねずみ大根の直接的な由来ではありません。

利用方法

ねずみ大根は、様々な料理に利用されています。

薬味：皮ごとすりおろして、蕎麦やうどんの薬味として利用されるのが一般的です。その強い辛味が、料理のアクセントになります。
漬物：沢庵漬けなど、漬物としても楽しまれています。独特の風味と食感が、食欲をそそります。
おやきの具：信州名物のおやきの具材としても利用されます。他の具材と組み合わさることで、ねずみ大根の辛味が和らぎ、美味しくいただけます。
おしぼりうどん：坂城町には、ねずみ大根を使った伝統料理「おしぼりうどん」があります。これは、ねずみ大根の絞り汁をつけ汁としていただくうどんで、この地域ならではの食べ方です。
加工品：坂城町では、ねずみ大根を使ったサラダドレッシングや焼酎など、様々な加工品も製造・販売されています。

栽培方法

ねずみ大根は、標高400〜500mの高地で栽培されます。小石混じりのような痩せた土地で栽培された方が美味しく育つと言われています。また、大きく育つと辛味が薄れるため、11月中旬から12月中旬にかけて収穫されます。

栽培する上でのポイントは以下の通りです。

乾燥気味に育てる：乾燥した環境を好むため、水やりは控えめに行います。
肥料は控えめにする：肥料を与えすぎると、味が落ちてしまうため、肥料は控えめにします。
播種：点まきで1箇所に5粒ほど種をまき、間引きしながら育てます。
間引き：本葉が2枚出た時と、本葉が5、6枚になった時に間引きを行い、最終的に1箇所に1本だけを残します。
収穫：根の肩の部分が土から少し出たら、大きさをみて収穫します。

その他

ゆるキャラ：坂城町には、ねずみ大根をモチーフにしたマスコットキャラクター「ねずこん」がいます。2011年に誕生し、町のPR活動に貢献しています。
山田ねずみ大根：長野県坂城町以外にも、滋賀県草津市山田地区原産の「山田ねずみ大根」があり、近江の伝統野菜に指定されています。こちらも、ねずみのような外観が特徴です。

ねずみ大根は、その独特な風味と歴史的背景から、多くの人に愛される伝統野菜です。その味をぜひ一度お試しください。

出典

坂城町ねずみ大根振興協議会
ねずこん公式サイト

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