信田さよ子

信田さよ子: 臨床心理士・フェミニストの歩み

信田さよ子（のぶた さよこ）は、1946年5月23日に岐阜県で生まれ、日本の臨床心理士として著名な存在です。彼女はフェミニズムにも関心を寄せ、臨床心理学の分野において長年にわたって活動をしています。1970年代からは依存症や嗜癖に関する問題に取り組んできましたが、1996年にはアダルトチルドレンのブームの火付け役としても知られるようになりました。彼女は原宿カウンセリングセンターの初代所長として、心理的サポートを提供してきました。

信田はお茶の水女子大学を卒業後、名古屋大学で教育心理学を学びました。1970年、お茶の水女子大学大学院の児童学専攻に進学し、その後依存症専門医療機関での経験を経て、1985年からは嗜癖問題臨床研究所に勤務。1995年には原宿カウンセリングセンターを設立し、専門的な心理相談を行ってきました。彼女の著書である『「アダルトチルドレン」完全理解』がもたらした影響は大きく、日本におけるアダルトチルドレンの理解が広まるきっかけとなりました。

彼女の主張と活動

信田さよ子は「アダルトチルドレン」を、現在の自身の生きづらさが親との関係に起因すると認識する人々と定義しています。彼女は、この定義が自己認知であることや、苦しみの原因が社会の仕組みや自分自身によるものではなく「親との関係」にあることを重要視しています。同時に、アダルトチルドレンが流行語となった背景には「あなたには責任がない」とする免責性が大きいと考えています。

また、信田は「被害者」という言葉に対して危険性を感じており、2003年からは「サバイバー」という用語を使用するようになりました。しかし、2019年にはその言葉も時代遅れになったとして「レジスタンス」という表現に変えています。

フェミニズムとの関連

信田はフェミニズムとアダルトチルドレンの関係性についても言及しています。彼女によると、フェミニズムは男女間の支配関係を分析するものであり、アダルトチルドレンは親と子の間の支配関係を明らかにするものとしています。この視点は、彼女が上野千鶴子のゼミに参加した経験からも影響を受けていると考えられています。

影響力のある著書

信田の著書は数多く、依存症やアダルトチルドレンに関連したものが目立ちます。例えば、1999年に出版された『アディクションアプローチ』や2000年の『依存症』など、彼女の研究成果が広く知れ渡っています。近年はドメスティックバイオレンスに関する問題にも取り組んでおり、内閣府や法務省の研究メンバーとしても活動しています。さらに、2021年には日本公認心理師協会の会長に就任し、心理学界における重要な役割を果たしています。

まとめ

信田さよ子の活動は、臨床心理学、美容分野、そして社会運動において多岐にわたります。彼女の視点は、単なる心理カウンセリングにとどまらず、社会そのものに対する批判や改善のための提言へと広がっています。彼女の考えや著書は、多くの人々に影響を与え続けており、今後の活動も注目されています。

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