信長の野望・蒼天録

信長の野望・蒼天録

『信長の野望・蒼天録』は、コーエーテクモゲームスから2002年に発売された歴史シミュレーションゲーム「信長の野望シリーズ」の第10作です。Windows版を皮切りに、PlayStation 2、PlayStation Portableにも移植され、廉価版も発売されました。

ゲーム概要

本作の最大の特徴は、シリーズで初めて大名以外の身分（軍団長、城主）でもプレイできるようになった点です。これにより、ゲームのクリア方法も多様化し、大名配下の武将としてエンディングを迎えることも可能です。パワーアップキット版では、シリーズ初となる織田信長誕生以前のシナリオが追加され、戦国初期の武将も多数登場します。

音楽は山下康介氏が担当し、大名や出自によって異なる楽曲が用意されています。また、前作では特殊な形式だった音楽ファイルが、Windows Media形式に変更されました。Windows版では、一部環境でフリーズや異常終了が頻繁に発生する不具合がありましたが、後に発売された廉価版では修正されています。

特徴的なゲームシステム

身分によるプレイ

大名、軍団長、城主の3つの身分でプレイでき、それぞれできることが異なります。大名は軍団長に、軍団長は城主に指示を出すことができますが、逆の場合は提案を行う必要があります。軍団長や城主は、大名からの評価や他の武将との関係が重要になります。特に軍団長は、評定での発言力や他武将の説得が、提案を通すための鍵となります。

知行制

『覇王伝』や前作『嵐世記』と同様に知行制が採用されていますが、本作では城ごとに知行が割り当てられています。これにより、武将の移動や転封が知行不足で制限されることがあります。また、COM武将は知行を上げることが少ないため、プレイヤーが大名の場合、配下の武将の知行が低いままになりやすいという問題点もあります。

諸勢力

国人衆、寺社衆、忍者衆といった諸勢力も登場しますが、前作に比べて重要度が低下しています。諸勢力武将は登用できなくなりましたが、脅迫や武力によって大名家に従属させることができます。従属させることで、進軍の通路確保、出陣要請、物資取引などのメリットが得られます。

謀略と外交

本作では、謀略の重要性が高まっており、忍者衆が重要な役割を担います。外交手段も多様化し、対等同盟だけでなく、従属同盟も結ぶことができます。また、偽伝令による味方への評価操作や、下剋上による大名家の乗っ取りも可能です。ただし、下剋上は悪評を招く可能性があり、朝廷や幕府からの大義名分が重要になります。

武将と城

登場する武将は1500人で、Win版では新武将を最大200人、PKでは1000人まで登場させることができます。城数は150で、城主不在の空白地は存在しません。城主が寿命や戦死でいなくなると、架空武将が代わって城主になります。

合戦

合戦はリアルタイム制で、部隊の種類は「足軽」「長槍」「騎馬」「鉄砲」「騎鉄」があります。これらの部隊はじゃんけんのような相性関係があり、兵種の組み合わせが重要になります。1人の武将が指揮できる兵数は2000までで、1つの城から出陣できるのは5人までです。攻城戦は、三の丸、二の丸、本丸の順に攻略していきます。本城を落とせば敵勢力全体を無条件で手に入れられる「総取り」システムが採用されています。

シナリオ

複数のシナリオが用意されており、織田信長誕生から本能寺の変まで様々な時代を舞台にプレイできます。パワーアップキットでは、さらに以前の時代を扱ったシナリオも追加されています。

主なシナリオ

1534年夏 信長誕生
1546年春 信長元服
1560年夏 桶狭間合戦
1570年秋 信長包囲網
1582年春 本能寺の変
1582年秋 清洲会議（隠しシナリオ）
1495年秋 駿河の梟雄（PK追加シナリオ）
1507年夏 三人の養子（PK追加シナリオ）

パワーアップキット

パワーアップキットでは、新シナリオや武将の追加に加え、エディタ機能が強化されました。また、縛りプレイをゲーム側で設定できる「特撰カスタマイズ」が追加され、より多様なプレイが可能になりました。

その他

本作は、シリーズで唯一城主プレイが可能な作品であり、謀略や外交が重要となるゲームシステムが特徴です。また、1700年を迎えても勝利条件を満たさないとゲームオーバーになるという時間制限もあります。これらの要素が組み合わさり、非常に戦略性の高いゲームとなっています。

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