修正資本主義

修正資本主義とは

修正資本主義（しゅうせいしほんしゅぎ、英：Modified Capitalism）は、資本主義の抱えるさまざまな課題を解決し、福祉国家を実現することを目指した思想や体制を指します。この概念は、1947年に経済同友会の大塚万丈らによってまとめられた『企業経営の民主化　修正資本主義の構想』の中で初めて提唱されました。修正資本主義は、当時の労働運動や民主化運動が盛んであった背景を受けて生まれましたが、アメリカのニューディール政策やイギリスのベヴァリッジ報告などにもその萌芽を見出すことができます。

修正資本主義の概要

資本主義は本質的に、特定の個人や団体によって計画や管理されるものではありません。そのため、所得格差や失業、経済の恐慌といった問題が顕在化しやすい状況にあります。修正資本主義は、これらの問題に対し政府が経済に介入し、適切な政策を実施することで解決や緩和を目指す立場をとります。現代の先進国においては、程度の差はあるものの、修正資本主義の考え方が広く採用されています。

この思想の基盤にはいくつかの理論が存在します。以下に主要なものを紹介します。

経営者革命論（J・バーナム）

この理論は、大企業における株式所有者が広く分散していることに注目します。このため、企業は資本家ではなく専門の経営者によって運営される形になります。経営者は資本家や労働者に対して中立的な立場を保ち、双方の協力を促進する企業環境を創出することが期待されます。これにより、資本の所有と非所有という点から生じる階級対立が緩和されるとされています。

ケインズ経済学

ケインズ経済学は、国家が経済活動に介入し、さまざまな規制を講じることで資本主義のもたらす問題を回避するという考え方です。また、社会政策や税制の見直しによって、所得格差の是正も図ることができます。これによって、福祉国家の実現につながるとされています。

マルクス経済学との対立

一方で、マルクス経済学は修正資本主義に対して否定的な立場を取ります。国家の介入で階級対立が解消されるとは限らず、むしろ大資本家への資本集積を後押しする結果になると指摘します。この立場からは、修正資本主義的な体制を国家独占資本主義と呼ぶことがあります。

修正資本主義の現状

2021年には、岸田内閣が「新しい資本主義」という政策を掲げ、修正資本主義の理念を反映させています。この「新しい資本主義」は公益資本主義とも呼ばれ、社会の福祉を重視する方向性が示されています。この流れは、将来的に持続可能な社会を築くための重要な一歩と考えられています。

おわりに

修正資本主義は、資本主義の根本的な特性を維持しつつも、その問題点を解決していくための考え方です。今後もこのアプローチは、経済政策の中心であり続け、社会的な不平等を是正するために重要な役割を果たすことでしょう。

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