労働運動

労働運動の概念

労働運動（ろうどううんどう）は、資本主義社会において労働者が自らの権利と地位の向上を求めて行う活動です。これには、労働条件の改善や社会的地位の確保、政治的権利の獲得が含まれ、労働者が団結して資本家階級に対抗することが中心的なテーマとされています。

歴史的背景

労働運動の歴史は18世紀後半のイギリスに端を発します。産業革命による機械化は手工業者たちの技能を奪い、彼らは賃金労働者として苦しい生活を強いられるようになりました。この状況に対抗するかたちで、労働者たちは団結を図り、計画的な抵抗が始まりました。当初はラッダイト運動のような強硬手段が取られましたが、1824年には団結禁止法が撤廃され、労働者の組織化が進みました。

労働組合の発展

1834年、ロバート・オウエンの指導のもとで「全国労働組合大連合」が結成され、労働組合の全国規模の組織化が進行しました。しかし、景気変動や経済危機によって組織は存続の危機に直面することもありました。サン＝シモンやシャルル・フーリエらの社会主義思想も影響を与えましたが、彼らの理念は労働運動に直接結びつくことはありませんでした。

政治的な視点からも労働運動は進展し、市民平等を求める動きとしてチャーチスト運動などが広がりました。1848年にはカール・マルクスが『共産党宣言』を発表し、以降の労働運動に影響を与えました。19世紀後半、イギリスでの労働組合は日常的利益の追求に特化したトレード・ユニオニズムへと進化していきます。

欧州の状況

この頃、労働運動は他の国にも広がり、19世紀末から20世紀初めには多くの資本主義国で労働組合が全国的な組織を持つに至ります。ただし、欧州大陸では、社会主義者や無政府主義者の影響が強く、特にドイツやフランスなどでは異なる形での労働運動が展開されました。

国際的な連携

1864年に第一インターナショナル、1889年に第二インターナショナルが設立され、国際的な労働者の連携が進みました。この時期、労働運動は戦争を挟みながらも大きな発展を見せ、1919年には共産主義インターナショナルが創立されます。特に、1917年のロシア革命は、労働者にとっての新たな指針となりました。

日本における労働運動

日本では憲法第28条によって労働者の団結権や団体交渉権が保障されています。日本の労働運動は政党との強い結びつきが特徴であり、これは政策実現のために政治との連携が必要だったからです。しかし、この構造は労働組合の幹部が政治家になることを助長し、自己の利益を追求する方向に進むこともありました。

1980年代以降、非正規雇用者や中小企業の労働者の組織化が課題となり、個人加盟の合同労働組合が注目を集めています。労働組合の組織率は低迷しているものの、新しい動きが見られるようになってきました。

現状と展望

現在、日本の労働運動は横断的な連携と個別問題への共同対応が増えてきています。労働者派遣法の改正に関しては潮流を超えた協力が起きており、組合間の対立が減少しています。しかし、依然としてエネルギー政策や憲法に対する見解などでは意見が分かれる点も存在しており、様々な潮流が交錯する状況にあります。

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