修羅がゆく

修羅がゆく：壮絶な抗争と義理人情の物語

『修羅がゆく』は、川辺優の原作と山口正人の作画による漫画作品で、『漫画ゴラク』にて1991年から1995年にかけて連載されました。関西を拠点とする西日本最大の暴力団「光和会」を舞台に、義兄弟でありながら対立する二人の若頭、本郷流一と伊能政治の壮絶な抗争を描いた作品です。1995年から2000年にかけては、哀川翔主演で実写映画化もされ、大きな話題となりました。

あらすじ

光和会最高幹部・岸田巌率いる岸田組には、有能な若頭・伊能政治と若頭補佐・本郷流一の二人がいました。正反対の性格ながら義兄弟の絆で結ばれた二人でしたが、岸田組の後継者問題をきっかけに、悲劇的な対立へと突き進んでいきます。

病に倒れた岸田は、後継者に本郷を指名しますが、野心家の伊能は岸田を殺害し、その罪を本郷に擦り付けます。濡れ衣を着せられた本郷は、光和会から追われる身となり、自らの信念に基づいた組織「本郷組」を立ち上げ、伊能への復讐と理想の組織作りを目指して壮絶な戦いを繰り広げるのです。

主要人物

本郷組

本郷 流一: 元岸田組若頭補佐で、本作の主人公。不良少年から岸田に見出され、ヤクザの世界で生き抜く中で「最後の極道」「狂い狼」と呼ばれるほどの凶暴性を持ちながらも、仁義を重んじる熱い心を持つ人物です。伊能の策略によって裏切られ、逃亡生活の末に真実を明かし、理想の組織「本郷組」を築き上げます。伊能との最終決戦で命を落としますが、その生き様は多くの者を魅了しました。

徳丸 源二: 本郷組の若頭補佐。本郷を支える忠実な部下であり、豪快な性格と怪力で多くの修羅場をくぐり抜けてきました。伊能との最終決戦で、本郷を逃がすために壮絶な最期を遂げます。

小溝 辰也: 本郷組の若頭。本郷組創設時から共に戦ってきた生え抜きメンバー。ある事件で服役しますが、物語終盤に再び本郷の前に現れ、伊能との戦いを支援します。

工藤 卓也: 本郷組の舎弟頭。元は女衒でしたが、本郷の仁義に感銘を受け、舎弟となります。本郷組の近代化に尽力しますが、自身の経験から、財政面は竜崎に託します。

京本 錠二: 本郷組の舎弟頭。元岸田組組員で、本郷と兄弟の契りを交わしていました。伊能の策略に利用されますが、後に本郷と和解し、共に戦うも伊能の策略で命を落とします。

一色 達哉: 本郷組の組長。元々は敵対組織の鉄砲玉でしたが、本郷の仁義に感銘を受け、本郷組に加わります。物静かな性格ですが、本郷への忠誠心は強く、最期は敵対組織との戦いで命を落とします。

竜崎 敏成: 本郷組の表の顔である「飛翔グループ」社長。元は帝都大学生で、本郷の理念に共感し、本郷組の近代化を担う重要な役割を果たします。

三津木正彦: 本郷組総本部長。本郷とは兄弟盃を交わした間柄。昔気質の侠客であり、本郷組拡大期に再会を果たし、本郷組に加わります。

光和会

伊能 政治: 岸田組若頭→岸田組組長→光和会本部長→光和会会長。知略に長け、冷酷非情な性格で、目的のためなら手段を選ばない。本郷を陥れ、光和会のトップに上り詰めますが、最後は本郷との一騎討ちで命を落とします。

大門 重雄: 光和会会長。昔ながらのやり方を重んじる人物。本郷の能力を認め、独立を許すなど、仁義を重んじます。伊能の策略によって暗殺されます。

その他: 光和会には山平組、坂巻組、西村組、今橋組、石本組、末松組など多くの組織が存在し、それぞれが独自の勢力争いを繰り広げます。

その他の組織

山城組、昇龍会、王道盟、黄一家、久須本組、怒濤一家、友成組など、各地の組織が複雑に絡み合い、物語に深みを与えています。それぞれの組織の抗争、そして本郷と伊能の対立は、義理人情、裏切り、復讐など、様々な人間のドラマを描いています。

実写映画版

『修羅がゆく』は、1995年から2000年にかけて、哀川翔主演で全13作の実写映画シリーズとして制作されました。各作品で、異なる地方のヤクザが絡む抗争が繰り広げられます。

OVA

1994年には、東映ビデオよりOVAもリリースされています。

まとめ

『修羅がゆく』は、ヤクザの世界をリアルに描きながらも、登場人物たちの生き様や人間模様に焦点を当てた作品です。義理人情、裏切り、復讐など、複雑な感情が交錯する中で描かれる、壮絶な抗争劇は、多くの読者・視聴者を魅了し続けています。

もう一度検索