修羅を行く

「修羅を行く」（しゅらをゆく）は、日本のミュージシャン、ASKAによって制作された楽曲です。この楽曲は、フィジカルなCDとしてのリリースではなく、デジタル形式の配信シングルとして世に送り出されました。具体的には、2018年 5月25日に、自身の設立したDADAレーベルより配信が開始されました。この形式での発表は、当時の音楽流通の多様化を反映したものであり、ファンにとっては場所を選ばずに楽曲を受け取れる利便性を提供しました。

リリース背景

本作が発表された2018年は、ASKAにとって精力的な創作活動を展開した一年でした。特に注目されるのは、2018年3月から8月にかけて実施された、毎月一度のペースで新曲を配信するという連続企画です。「修羅を行く」は、この定期的な楽曲発表プロジェクトの中で、2018年5月に配信された第3作目に位置づけられます。この企画は、コンスタントに新たな音楽をファンに届けたいというASKAの意向が反映されたものであり、各楽曲が独立した作品として楽しめると同時に、シリーズ全体としても捉えられる試みでした。

楽曲詳細

「修羅を行く」は、5分33秒の長さを持つ楽曲です。作詞、作曲、そして編曲のすべてをASKA自身が手掛けています。これは彼のキャリアを通じて見られるスタイルであり、楽曲の世界観を一貫してコントロールする彼の音楽家としての姿勢を示しています。

制作におけるアプローチ

この楽曲の制作過程には、いくつかの特筆すべき点があります。特にリズムセクション、すなわちドラムやベースのサウンドメイキングにおいては、独特のアプローチが採用されました。ASKAは、生のドラム演奏やベース演奏を使用せず、意図的に打ち込みやプログラミングによる音源を選択したと語っています。その理由として、生楽器では得られない「タイトさ」や、音の輪郭が明瞭な「音像」を重視したためであると説明されています。このような手法は、楽曲に特定の質感やグルーヴをもたらすことを目的としたものであり、サウンドプロダクションにおける彼のこだわりが伺えます。

さらに興味深いのは、この楽曲のレコーディング作業のすべてが、ASKA自身のプライベートな仕事部屋で行われたという事実です。通常、商業的なレコーディングは専門のスタジオで行われることが多い中、自身の慣れ親しんだ空間で全工程を完結させたことは、彼が自らのペースで、そして理想とするサウンドを追求するための環境を選んだことを示唆しています。このパーソナルな空間での制作を経た結果、ASKA自身は本作を「自画自賛作品になりました」と評しており、その仕上がりに強い手応えを感じていたことがうかがえます。

参加ミュージシャン

「修羅を行く」の制作には、ASKA以外のミュージシャンも参加しています。

- Guitar：鈴川真樹
- Programming：鈴川真樹、藤山祥太

鈴川真樹はギター演奏に加え、プログラミングにも携わっており、藤山祥太と共に楽曲のサウンド構築において重要な役割を果たしました。プログラミングは、特に打ち込み主体のリズムセクションやシンセサイザーなどの音作りにおいて不可欠であり、彼らの貢献が楽曲の独特な音像形成に寄与しています。

収録アルバム

この配信シングルは、後にリリースされたアルバムにも収録されています。「修羅を行く」が収められたアルバムは、『Breath of Bless』です。アルバムに収録されることで、配信リリース時に単曲で親しんだリスナーに加え、アルバムというまとまった形で楽曲を聴く層にも届けられました。

初披露とライブでの展開

「修羅を行く」は、リリース後、ライブの場で初めてオーディエンスの前で演奏されました。その舞台となったのは、2018年11月5日から12月23日にかけて開催されたコンサートツアー『ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018 -THE PRIDE- 』でした。このツアーは、フルオーケストラをバックに自身の楽曲を披露するという大規模なものであり、その中で本作が演奏されたことは、楽曲が持つポテンシャルや、ライブにおける表現の幅広さを示しています。ツアーで初めて生演奏に触れたファンは、楽曲への新たな魅力を感じたことでしょう。

「修羅を行く」は、2018年のASKAの音楽活動を象徴する一曲であり、定期的な楽曲提供というユニークな試みの中で生まれ、その後のライブでも重要なピースとなった作品です。デジタル配信という現代的な形式と、アーティストのこだわりが詰まった制作背景を持つ本作は、彼の創造性の深さを示す例と言えるでしょう。

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