俵返

俵返（たわらがえし）

俵返は、柔道の投技における真捨身技の一つであり、講道館や国際柔道連盟（IJF）で正式に認められている技です。別名として俵返し、俵投とも呼ばれます。IJFにおける略号はTWGです。

概要

俵返しの代表的なかけ方は以下の通りです。

1. 相手が双手刈やタックルなどの技を仕掛けてきた際に、それを受け止めます。
2. 前屈みの低い体勢になっている相手に対し、上から覆いかぶさるようにして抱き着きます。
3. 相手の腹に両手を回してしっかりとクラッチを組みます。
4. 後ろに倒れ込みながら相手を持ち上げ、相手の頭の向きを自身の真後ろに向けて投げます。

この一連の動作が、米俵を持ち上げる動作と似ていることから、俵返と呼ばれるようになりました。しかし、この技は審判から見て効果が判定しにくい場合があります。俵返は自分から後ろに倒れる真捨身技であり、双手刈は相手を後ろに倒す技であるため、俵返を仕掛けて自分から倒れたのか、それとも相手の双手刈を受けて倒されたのかが判断しづらいためです。別名として胴返とも呼ばれます。

俵返は真後ろに投げられれば理想的ですが、実際には自分の上に相手が重なってしまうことが多く、真後ろに投げるのは困難です。そのため、横や斜め後ろ、斜め横に投げることが多くなります。また、四つん這いになっている相手に対し、正面から入るがぶりの姿勢から投げることもあります。

最初の真正面の体勢から自分の体勢を横にして、真横（最初の前の向きから結果的に真後ろ）に投げるという投げ方も存在します。

他の格闘技での俵返

俵返は柔道以外の格闘技でも見られ、例えばレスリングのグレコローマンスタイルやフリースタイルでも使用されます。レスリングにおける「俵返」は、相手の側方から胴を抱え、相手を側方または自身の後ろ向きに反り投げる技を指します。主にグレコローマンスタイルで使用され、アレクサンドル・カレリン選手などが著名な使い手として知られています。

また、柔道にはがぶりから入る投技があり、これはがぶり返しと呼ばれ、柔道では俵返に包含されます。レスリングのがぶり返しでは、相手の頭部と片腕を両腕で抱え込む、柔道界で言うところの肩三角グリップから投げる場合がよくあります。しかし、このように投げてしまうと首関節が極まっていなくても危険行為とみなされ、2018年までは柔道のIJFルールでは反則負けとなっていました。また、投げなくても立ち姿勢で肩三角グリップとなった段階で「マテ」がかかり、2020年には、両者立ち姿勢から投げようとしただけで反則負けとなりました。寝姿勢から立ち上がって投げようとした場合は「マテ」がかかります。

古流柔術では、帯を持った引込返も「俵返」または「帯返」と呼ばれていました。

派生形

首返

首返は、片腕または両腕で相手の頭部を抱えながら行う俵返です。柔道では首関節が極まり、反則負けとなることがあります。

大砲投

大砲投は、海軍軍人の広瀬武夫が得意とした技で、相手の後襟を取って前に押し下げてから両腕で胴を抱えて行う豪快な俵返です。別名大砲とも呼ばれます。

サイド・スープレックス

サイド・スープレックスは、がぶりの姿勢ではなく相手を側方に置いて行う俵返です。相手の頭側、自分の後ろ側に投げます。相手は逃げやすいものの、抵抗しなければ投げやすいという特徴があります。プロレスでよく使用されます。

外部リンク

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