俺のダンディズム

『俺のダンディズム』は、2014年4月16日から7月2日にかけて、テレビ東京系列の深夜ドラマ枠「ソコアゲ★ナイト」にて放送された日本のテレビドラマシリーズです。

物語の主人公は、伊達商事の営業課長に昇進した段田一郎。これまでごく普通のサラリーマンとして生きてきた彼が、あるきっかけから「ダンディな男」を目指すことを決意します。そのきっかけとは、彼が密かに心を寄せる若手女性社員、宮本南が「ダンディな男性」に惹かれていることを知ったことでした。彼女の気を惹きつけたい一心で、段田はダンディズムの探求へと踏み出します。

段田がダンディズムの扉を開ける鍵となるのが、「マダムMの店」という名のユニークな店舗です。この店の美しい店主、美幸は、ダンディズムに関する深い知識と、選りすぐりのアイテムを取り揃えています。段田は毎週この店を訪れ、美幸から腕時計、万年筆、靴、鞄、スーツ、下着といった様々なダンディズムアイテムについて、その歴史的背景や、それぞれのアイテムが持つ意味、そして選び方などを学びます。美幸は毎回、特定のアイテムの中から三つのおすすめ商品を提示し、段田はその中から自身の予算や好みに合わせて一つを選び、購入することで、ダンディズムへの階段を一段ずつ上っていきます。ただし、美幸が時に予算を超える高級品を勧めてくることもあり、段田はダンディズムを追求するあまり、ついには長年集めてきた切手や古銭のコレクションを売却して費用を捻出するなど、時にコミカルな奮闘ぶりを見せます。

登場人物は多彩です。主人公の段田一郎は、年収710万円で既婚、二児の父という現実的な設定でありながら、憧れの女性のために変身を図る純粋さを持っています。彼の憧れの存在である宮本南は、若く美しい女性社員で、ダンディな男性を好みます。彼女は、同じ職場の部長である伊達次郎からの執拗なアプローチやストーカー行為に悩まされています。その伊達次郎は、会社の跡継ぎであり、表向きはおしゃれで女性に人気の高い人物ですが、内面には問題行動を抱えています。彼と段田の関係性も物語の重要な要素となります。また、「マダムMの店」には、美幸の他に、CEOの美鈴や、時に登場するバイヤーの美麗といった個性的なキャラクターがおり、段田に辛辣な言葉を浴びせながらも、ダンディズムの世界へと導きます。

ドラマは、段田の現実世界での奮闘に加え、彼の内面世界も描かれます。彼はジェームズ・ボンドに強い憧れを抱いており、店のアイテム選びや日常生活のふとした瞬間に、自身がボンドとなって南を守るというコミカルな妄想を繰り広げます。また、行きつけの喫茶店のテレビでは、常に「明日使える ダンディズム講座」という番組が流れており、ジェントル今井といった講師や、本人役のパンツェッタ・ジローラモらが、ダンディズムの極意やシチュエーションを紹介し、段田の学びの一助となります。

本作の魅力は、単なるファッション指南にとどまらず、アイテムが持つ歴史や文化的な背景を深く掘り下げ、それを学ぶ主人公の成長譚として描かれている点にあります。それぞれのアイテムがどのようにして「ダンディ」な男性にとって不可欠なものとなったのかが丁寧に解説され、視聴者も一緒にダンディズムの世界に触れることができます。また、平凡な中年男性が、不器用ながらも自分を変えようと努力する姿は、多くの共感を呼びました。

スタッフには、脚本の堀田延や濱谷晃一、音楽のスキャット後藤などが名を連ねています。総合演出も濱谷晃一が担当しました。主題歌は、MANNISH BOYS（斉藤和義×中村達也）による「I am Dandy」です。この曲はドラマ側からの要望を受け、主人公の生き様をイメージして書き下ろされたもので、主演の滝藤賢一が出演するミュージックビデオも制作されました。

『俺のダンディズム』は、ダンディズムというテーマを通して、自分自身を高めようとする人間の普遍的な努力と、それに伴う喜びや苦悩をユーモラスに描いた作品と言えるでしょう。

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