『俺は、君のためにこそ死ににいく』の概要
『俺は、君のためにこそ死ににいく』は、
2007年5月12日に日本で公開された映画です。制作には、当時
東京都知事であった
石原慎太郎が製作総指揮・
脚本を手掛け、主要キャストには
窪塚洋介といった若手俳優が起用されています。また、この映画は
役所広司の息子である橋本一郎にとってのデビュー作でもあります。映画の総製作費は18億円で、
興行収入は10.8億円を記録し、
2007年度の邦画部門で29位にランクインしました。
あらすじ
物語は
1945年、太平洋戦争の終息を迎えようとしている中、
日本軍が困難な状況に置かれている様子から始まります。昭和19年、劣勢に立たされる
日本軍は、連合国軍の攻撃を阻止するために、自爆攻撃部隊として神風特別攻撃隊を編成。これに対抗する形で陸軍も「と号部隊」を創設し、戦局の挽回を試みます。しかし、
フィリピンは敵軍に占領され、
日本軍は沖縄を守るために必死に特別攻撃隊を送り込み続けます。
知覧飛行場からは多くの特攻隊員が出撃しました。本作では、坂東少尉やその家族との関係、また鳥濱トメという女性の視点を通して、特攻隊員たちの青春や志を描写しています。彼らの壮絶な運命に、視聴者は深い感動と考えさせられる内容が展開されます。
主題と受容
本作は、特攻隊員と鳥濱トメとの交流を基にした史実を取り上げており、その愛国的なテーマから初めて公開される前から賛否が分かれていました。
石原慎太郎の関与が議論を呼び、
右翼からは支持される一方、左翼からは批判が集中。この映画を「戦争美化映画」として批判した井筒和幸に対し、出演者の
窪塚洋介や監督の新城卓は反論し、映画を観た上での意見を求めました。実際には、彼らが描かれる戦士たちの生きざまには、単なる戦争賛美ではなく、複雑な感情が込められています。
出演者
映画のキャストには、
岸惠子、徳重聡、中村友也、
筒井道隆などが名を連ねています。特に、主演の
窪塚洋介は、特攻隊員の人生とその苦悩を体現し、観客に深い印象を与えました。彼の演じる坂東少尉は、家族との再会を目指して戦い続ける姿が描かれています。
音楽と舞台化
音楽には
B'zの「永遠の翼」が主題歌として使用され、物語の感情をさらに引き立てています。また、本作は劇団夜想会によって舞台化され、さらなる展開を見せました。初披露は
2008年に
靖国神社で行われ、以後も再演され続けています。
この作品は、太平洋戦争とその影響を受けた人々の姿を描くことにより、戦争というテーマに再考を促す重要な作品として評価され続けています。