倉本由布

倉本由布：少女小説から歴史ファンタジーへの軌跡

倉本由布は、1967年静岡県浜松市出身の少女小説家です。共立女子大学文芸学部を卒業後、1984年に『サマーグリーン／夏の終わりに‥』で第3回コバルトノベル大賞佳作に入選し、16歳という若さでデビューを果たしました。これは当時の同賞受賞者としては最年少記録でした。

デビューと初期の作品

同年秋には『時計じかけの夏』で雑誌『Cobalt』にて作家活動を開始。同じく第3回コバルトノベル大賞に入選した唯川恵も、後に直木賞作家となるなど、この賞は多くの才能を輩出しています。高校在学中には『恋は風いろ 不思議いろ』（コバルト文庫）を出版し、早くもその才能を開花させました。

初期の作品は、中高生を主人公とした恋愛ものが中心で、代表作である『花音ちゃんシリーズ』では、主人公の池上花音が中学1年生から短大卒業までの成長を一年ごとに描くという、ユニークな構成が特徴です。瑞々しい感性と等身大の青春模様が、当時の読者の共感を呼びました。

日本史への転換と新たな作風

『花音ちゃんシリーズ』執筆中から、倉本は新たな分野への挑戦を始めます。それが、当時のコバルト文庫ではまだ珍しかった日本史を題材とした作品です。歴史上の人物や出来事をモチーフに、恋愛要素を織り交ぜた物語は、新たな読者層を開拓しました。

近年では、近世以前の日本史上の著名人物を題材とした作品や、歴史ファンタジー作品を多く執筆しています。史実に基づきながらも、大胆な解釈や想像力を加えた物語は、歴史ファンだけでなく、幅広い読者層を魅了しています。

主な作品シリーズ

イヴたちへの伝言シリーズ：『イヴたちへの伝言』、『イヴたちへの伝言2』
天使のカノンシリーズ：『天使のカノン』、『眠り姫たちの序曲 天使のカノン2』など全9巻
鎌倉盛衰記シリーズ：『海に眠る 義高と大姫 鎌倉盛衰記1』、『空耳の恋唄 頼家私伝 鎌倉盛衰記2』など全3巻
楽園のイヴシリーズ：『楽園のイヴ』、『楽園のイヴ エデンの恋人』
天海の翼シリーズ：『天海の翼』、『天海の翼 ましろの鎮魂』、『天海の翼 はるかの王』
常世ノ系譜シリーズ：『千年のほころび 常世ノ系譜』、『黄泉の誘惑 常世ノ系譜』、『永遠のかなた 常世ノ系譜』
* むすめ髪結い夢暦シリーズ：『ゆめ結び むすめ髪結い夢暦』、『迷い子の櫛 むすめ髪結い夢暦』、『夢に会えたら むすめ髪結い夢暦』

その他、『高校デビュー』の小説版や、『セシルの夏』、『姫君たちの源氏物語』、『寄り添い花火 薫と芽衣の事件帖』など、多数の作品を手がけています。

倉本由布作品の魅力

倉本由布の作品は、青春時代の繊細な感情を描いた恋愛小説から、歴史のロマンとファンタジーが融合した壮大な物語まで、幅広いジャンルを網羅しています。その作品に共通するのは、登場人物たちの心の機微を丁寧に描き出す描写力と、読者を惹きつける魅力的なストーリーです。彼女の作品は、これからも多くの読者に感動と興奮を与え続けるでしょう。

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