個人

個人とは

「個人」という概念は、社会的な集団とは対照的に、各人が持つ独自の存在として認識されます。つまり、「個人」は特定の組織やその地位から解放された、一人の人間としての存在を指します。この用語は、特に私人としての視点に焦点を当てています。

概説

「個人」という用語は、日本語においては江戸時代にまだ普及していませんでした。明治時代になると、徐々にこの言葉が使われるようになりました。具体的には、1877年に出版された服部徳の『民約論』には「一個ノ人」という表記が見られ、さらに高橋達郎の著作『米國法律原論』（同年）や青木匡による訳本『政体論』（1878年）でも「個人」という表現が登場します。このように、明治時代中頃から「個人」という言葉が登場し、1884年の文部省の著作では「個人」という単語が公式に使用されました。この用語は、もともと英語の「Individual」に相当すると言われています。

組織との関係

経営と組織論の分野で著名なチェスター・バーナードは、個人と人間の違いを示しています。彼の理論によれば、「個人」は物的、社会的、また生物的な要素が融合した存在であり、理論的な存在ではないとされます。一方、「人間」は自由な意思を持ち、選択の能力を備えた論理的かつ合理的な存在であるとされます。

バーナードはまた、正式な組織（FO：Formal Organization）を基本的な組織形態とし、この中で活動する個々のメンバーは、個々としての人格と組織としての人格の二重性を持つと述べています。各メンバーはその人間性に基づいて、金銭的報酬や活動の社会的意義、ステータスなどの要因を考慮し、組織に参加する意志を決定します。このとき、個々の利点（誘因）と組織への貢献のバランスが取れている限り、個人は組織に留まることとなり、参加している限り、組織人格がその人の意思決定に影響を与えるという見解です。

法律における「個人」

法律の観点から見ると、「組織」と各構成員としての「個人」を対比する形で、法人と自然人（英語ではnatural person）という用語が用いられます。日本の法文では「人」と記されている場合もあれば、特に「自然人」や「個人」として明示されるケースも存在します。法的文脈では、個々の人間としての権利や責任が明確に認識されることが重要です。

まとめ

「個人」という概念は、社会や法律において重要な役割を果たしており、私たちが持つ専門的・社会的な立場とは一線を画す存在です。個人としての権利や責任は、特に法人などの集団と対照的に理解されるため、その概念を深く考察することは極めて重要です。

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