借金漬け外交

借金漬け外交について

概要

借金漬け外交、または債務の罠とは、国際援助や債務により債務国が債権国に対して様々な拘束を受ける現象を指します。特に友好国同士で債務の代償として重要な権利（港湾や鉄道権など）が取得されることがあり、これが債務国の財政運営や政策に影響を及ぼします。この表現は特に中国の一帯一路政策との関連で注目されており、批判的な文脈で多く用いられています。

歴史的背景

この用語はインドの地政学者ブラーマ・チェラニーによって2017年に広まりました。特に欧米やインド、日本が中国の外交政策を批判する場面で、債務による制約が問題視されてきました。

国際的な動き

2019年のG20財務大臣・中央銀行総裁会議で採択された「質の高いインフラ投資に関するG20原則」は、新興国への投資において持続可能性を強調しています。この動きは借金漬け外交の影響を緩和するための試みであるとされています。

中国の債権国としての立場

中国は21世紀に入ってから国際的な融資に積極的に関与し、一時は世界第二位の債権国となりました。しかし、融資を受けた発展途上国では多くが財政規律を無視し財政危機に見舞われ、そこから来る問題も指摘されています。特にエチオピアやトルクメニスタンでは、中国からの融資が大きな負担となり、経済問題を引き起こしています。エチオピアでは「アフリカの中国」とも称される一方で、債務が国内総生産の59%に及ぶ状況が報じられています。トルクメニスタンも同様に、中国への依存度が高く、経済危機が懸念されています。

具体的な事例

スリランカ

スリランカでは、中国からのインフラ投資が赤字を招き、2022年に入ると国の財政危機が表面化しました。中国への債務返済が難航し、報道では「債務の罠」に陥ったとされていますが、実際には様々な要因が経済崩壊に寄与しています。

ベネズエラ

また、ベネズエラは中国との関係が強まる中、経済崩壊に直面し、債務返済が難しくなりました。ウォール・ストリート・ジャーナルは、この状況を「債務の罠」がもたらす危険な側面の一例として挙げています。

マレーシアとモルディブ

マレーシアもまた、政府の腐敗や強権的政策が影響し、巨額の債務を抱える結果となっており、見直しを行うことになりました。一方、モルディブでも多額の中国からの融資が国家財政に重圧をかけ、経済的な問題を引き起こしています。

ジブチとギリシャ

ジブチでは、2016年の時点で対外債務の82%が中国によるものであることが指摘されており、国家の存続にも影響を及ぼしています。ギリシャもまた、IMFとの間で債務不履行に陥り、中国の港の管理権を譲渡するという厳しい選択を迫られています。

まとめ

借金漬け外交は国際的な経済関係において非常に複雑な現象です。国家間の資金援助が時には負担となり、経済や外交関係に深刻な影響を及ぼすことがあります。今後、金融の透明性や持続可能性を重視した投資が求められる中で、各国がどのように戦略を立てていくのかが注目されます。

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