モルディブ

モルディブ共和国について

モルディブ共和国（Dhivehi Raajjeyge Jumhooriyyaa）は、インド洋に位置する島国で、インドとスリランカの南西に広がるモルディブ諸島から成り立っています。国土は主に1,192の小島や環礁で構成され、総面積は298平方キロメートルほどです。首都はマレで、国の人口は約51万人。特徴的なのは、外国人観光客が約13万人を占めている点です。この地は「アジアの楽園」とも称され、美しい自然環境が魅力です。

歴史

モルディブの歴史は、約2000年前にインド亜大陸やセイロン島から移住してきた人々に始まります。初めは仏教徒が多くを占めていましたが、11世紀ごろからイスラム教が広まり、1153年にイスラム教へ改宗しました。その後、モルディブはスルターンの支配下に入り、時折外敵からの占領を経験します。1558年から1573年にはポルトガル、1645年から1796年にはオランダの保護下に置かれました。そして、1887年にはイギリスの保護国となり、1932年には最初の憲法が発布されました。

1953年には君主制が廃止され、共和制に移行しましたが、政局は不安定で、幾度かのクーデターや政権交代が繰り返されます。1998年には大統領選が行われ、モハメド・ナシードが選出されました。その後も政治の動きは目まぐるしく、親中派のムイズ大統領が2023年に就任し、新たな政権体制を築いています。

地理

モルディブは熱帯気候で、高温多湿な環境に置かれています。その平坦な地形は海抜が2.4メートルにすぎず、地球温暖化による海面上昇が深刻な問題となっています。特に、国土の80%が海面の上昇によって失われる可能性があるため、移住先の確保や人工島の建設が急務となっています。

経済と観光

モルディブの経済は主に観光業と漁業に依存しています。観光業は国内総生産の約3分の1を占め、毎年多くの観光客を惹きつけています。1972年、国内初のリゾートが開業して以来、リゾート文化が急成長し、現在では159軒のリゾートがあります。観光客は世界中から訪れ、その中には中国やインド、欧米諸国の人々が多数を占めています。

漁業も重要な産業で、特にマグロの漁獲が盛んです。モルディブは2005年時点で約5000隻の漁船を保有しており、漁業は国内の主要な輸出品目の一つです。さらに、モルディブの唯一の工業部門はココナッツからのコプラ製造になりますが、鉱産資源はほとんど存在しません。

文化と社会

文化面では、モルディブの公用語はディベヒ語であり、ほかにも様々な言語が使われています。また、イスラム教のスンナ派が国教であり、国民の98.7%がイスラム教徒です。地元のスポーツとしてはサッカーが最も人気で、クリケットも広く普及しています。文化的な行事や伝統も大切にされており、歴史的な背景が色濃く反映されています。

モルディブは、一国としての特異性を持ちながら、地域の歴史や文化に根ざした独自のアイデンティティを形成しています。この豊かな自然と歴史が融合した国は、観光や国際関係において今後も注目され続けることでしょう。

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