倭文神社 (富士宮市)

倭文神社について

倭文神社（しどりじんじゃ）は、静岡県富士宮市に位置する神社です。この神社は、古くからこの地に存在し、地域の歴史と文化を今に伝える重要な場所となっています。

歴史

倭文神社の歴史は非常に古く、『延喜式』という平安時代に編纂された法典の中に、その名前を見ることができます。『延喜式』巻九神祇九には、富士郡の三つの神社の一つとして「倭文神社」が記載されており、これが現在の倭文神社と同一であると考えられています。この記述から、少なくとも平安時代には既にこの神社が存在していたことがわかります。

さらに、『延喜式』巻二十四・主計上には、駿河国の調品目として「倭文卅一端」と記載されています。この記述は、この地域に倭文部と呼ばれる人々が住んでいたことを示唆しています。倭文部とは、古代に織物などを生産していた人々であり、彼らがこの地で活動していたことが、神社の歴史と深く結びついていると考えられます。

中世になると、この地域を支配していた在地勢力である富士氏が、倭文神社を祀っていました。富士氏は、駿河国において大きな力を持っていた一族であり、彼らがこの神社を重視していたことは、倭文神社が地域にとって重要な存在であったことを示しています。

これらの歴史的な背景から、倭文神社は古代から中世にかけて、この地域の文化と人々の生活に深く根ざした神社であったと言えるでしょう。

まとめ

倭文神社は、その長い歴史の中で、地域の変遷を見守ってきた神社です。古代の倭文部の存在、平安時代の『延喜式』への記載、中世の富士氏による祭祀など、数々の歴史的な事実が、この神社が持つ歴史的な価値を物語っています。この神社を訪れることで、古代から中世にかけてのこの地域の歴史と文化に触れることができるでしょう。

参考資料

仁藤敦史、「スルガ国造とスルガ国」『裾野市史研究』第4号、1992年
仁藤敦史、「駿河郡周辺の古代氏族」『裾野市史研究』第10号,1998年

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