側節足動物

側節足動物とは

側節足動物（そくせっそくどうぶつ、Pararthropoda）は、過去に節足動物に類似する形で分類されていた動物群であり、主に舌形動物、またはシタムシ類、有爪動物（カギムシ類）、緩歩動物（クマムシ類）の三つの動物門が含まれています。この概念は1949年にVandelによって提唱され、20世紀中頃から2000年代前期にかけてドイツ語および日本語の文献で頻繁に見られました。しかし、21世紀に入ってから、この分類は再評価され、側節足動物という呼称は便宜上のみ使用されることになりました。

歴史的背景

古典的な動物学では、環形動物と節足動物は共に体節とそれに伴う付属肢を持つことから、体節動物（Articulata）という単一の系統群に分類されていました。この考え方によれば、これら二つの動物群には共通の特徴が見られるため、側節足動物はその中間に位置付けられていました。古い理論では、側節足動物は、節足動物に似ていながらも、明確な違いを持つ特異なグループとして認識されていました。

特徴

側節足動物にはいくつかの特徴があります。これらの動物群は以下の点で共通しつつも、各々にユニークな違いを持っています。例えば、舌形動物は寄生性で、体の構造が単純化され珪藻類に似た幼生を持つ一方で、緩歩動物は外見上ははっきりした体節があるにもかかわらず、内臓器官は単純です。有爪動物は、外からは体節が認識されないものの、その内臓機構は体節の存在を示唆しています。

すべての側節足動物には、関節のない付属肢があり、先端には爪を持っています。また、各動物の体の軸に沿って複数の付属肢が並ぶ様子が見られますが、やはりこれらの付属肢には関節が存在しないため、節足動物とは根本的に異なっています。このように側節足動物という名前は、「近い」を意味する接頭辞「Para」と節足動物のラテン語名称「Arthropoda」を掛け合わせたものです。

現代の理解と再評価

21世紀以降、分子系統学の発展により、環形動物は側節足動物や節足動物よりも、むしろ軟体動物や腕足動物に近縁であることが判明しました。それに伴い、側節足動物と他の動物群は、環形動物よりも線形動物や鰓曳動物に近いことが示されています。これらの動物は脱皮を行うという共通する特徴から、脱皮動物としてまとめる分類が有力視されています。

分子系統解析の結果、これらの動物群は多系統群として再分類され、舌形動物は独立した動物門ではなく、節足動物に系統的に含まれることが確認されました。一方、有爪動物と緩歩動物はそれぞれが節足動物に近い独立した動物門として扱われています。

最終的に、有爪動物、緩歩動物、そして節足動物の三つの群は単系統群と考えられ、これを汎節足動物（Panarthropoda）と呼びます。汎節足動物内では緩歩動物が節足動物に最も近いとする説や、有爪動物が近いとする説、またその二者が単系統群を形成し節足動物が姉妹群となるという様々な見解が存在しています。

このように、側節足動物に関する理解は、歴史的な分類から現代の分子系統学の成果を反映する形で進化を遂げてきました。

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