側頭骨茎状突起

側頭骨茎状突起について

側頭骨茎状突起（そくとうこつけいじょうとっき、temporal styloid process）は、人体の側頭骨に存在する細長い突起です。この突起は耳の直下、具体的には側頭骨の下方に位置しており、前方に伸びて頬骨と接触しています。茎状突起は、形状や機能からも非常に興味深い構造です。

発生

茎状突起は、第二鰓弓の軟骨が軟骨内骨化を経て形成されます。この過程は胎児の発生において重要であり、茎状突起の形状や性質に影響を与えます。おおよそこの発生の過程によって、成人の茎状突起の形が決定されるのです。

構造

茎状突起は側頭骨の特徴的な部分であり、細長くとがった形状をしています。具体的には、側頭骨の下面から前下方に向かって伸び、様々な筋肉の付着部を形成しています。以下にその詳細を述べます。

• - 近位部（基部）:

近位部は側頭骨の鼓室部に包まれており、さまざまな機能的な役割を果たしています。

• - 遠位部:

遠位部は以下の筋肉や靱帯の付着部となっています：
- 茎突舌骨靱帯
- 茎突下顎靱帯
- 茎突舌筋（舌下神経支配）
- 茎突舌骨筋（顔面神経支配）
- 茎突咽頭筋（舌咽神経支配）

特に茎突舌骨靱帯は、茎状突起の先端から始まり、舌骨の下角に接続しています。この靱帯は一部または全体が骨化していることもあり、様々な医学的影響を及ぼす可能性があります。

変異

茎状突起は、時には異常に伸びすぎたり、茎突舌骨靱帯が骨化することで、問題を引き起こすことがあります。特に問題となるのは、茎状突起が頭蓋底から突き出し、咽頭組織に圧力を与える場合です。この場合、食事中に咽頭がこすれて痛みを感じることがあります。この痛みは、舌咽神経を通じて感じられ、また、首を回したり舌を延ばすとさらに悪化することがあります。

加えて、茎状突起の異常が関連する症状としては、声の異常や咳、ふらつき、片頭痛、後頭部の神経痛、さらには歯痛や下顎痛、そして副鼻腔炎や充血といったものがあります。これらの症状は、茎状突起の形状やその周囲の組織との関係に起因することが多いです。

参考文献

茎状突起に関する詳しい情報は、原著 森於菟 改訂 森富「骨学」『分担解剖学1』（第11版第20刷）金原出版に基づいています。

もう一度検索