僕のマリー
僕のマリー
ザ・タイガースが放った最初のシングルとして歴史に刻まれた楽曲、それが「僕のマリー」です。1967年2月5日に世に送り出されたこの作品は、当時台頭しつつあったグループ・サウンズシーンにおいて、若々しい感性を持つ彼らが放った第一声となりました。まだ見ぬ成功への期待と、グループの個性を示す重要な一歩となったシングルです。
収録曲の詳細
本シングルには、表題曲である「僕のマリー」と、そのカップリングとして収められた「こっちを向いて」の2曲が収録されています。両楽曲とも、日本の音楽界を代表する作詞家である橋本淳氏と、作曲家・編曲家として名高いすぎやまこういち氏の手によるものです。彼らの才能が融合することで、当時の流行とグループのフレッシュさが組み合わされたサウンドが生まれました。
- - 僕のマリー (My Mary) [2:24]
- - こっちを向いて (Let Me See You Baby) [3:03]
特に「こっちを向いて」は、タイガースのメンバーの中でも、ベーシストの岸部おさみ氏（後に俳優として広く知られる岸部一徳氏）がリードヴォーカルを担当している点が注目されます。通常、ジュリーこと沢田研二氏が中心となるボーカルワークにおいて、異なるメンバーが歌唱することで楽曲に多様性が生まれています。
当時の評価と後の記録
本シングルの商業的な成果に関しては、複数の異なる情報源から見解が示されています。当時の若者向け音楽雑誌『ヤング・ミュージック』が発表していた独自のヒットチャート「YM BEST20」において、「僕のマリー」は1967年7月号で記録した最高位12位が最高位であり、当時の一般的な基準で「大ヒット」と称されるほどの爆発的なセールスには至らなかったとされています。
その一方で、時代を経た後に刊行された資料には、異なる記録が記載されています。例えば、2007年3月21日にテイチクエンタテインメントよりリリースされたコンピレーションCDアルバム「GSフォーエヴァー100」の解説文には、本楽曲が「40万枚を超えるセールスを記録した」という記述が見られます。このように、リアルタイムの情報と後年の資料とで売り上げに関する数値が異なっていることは、楽曲の評価や記録方法に関する論点を提供する興味深い事例と言えます。
時代を超えた影響と関連情報
「僕のマリー」は、後世のアーティストによっても再解釈されています。2008年に発表された近田春夫&ハルヲフォンのアルバム『リメンバー・グループ・サウンズ』には、この楽曲のカバーバージョンが収録されており、往年の名曲が新たな息吹を得て奏でられました。このカバーは、オリジナル楽曲が持つ普遍的な魅力が、時代を超えて受け継がれていることの証と言えるでしょう。
本シングルが発売された1967年は、日本の音楽史においてグループ・サウンズというジャンルが隆盛を極めつつあった時期と重なります。「僕のマリー」は、その熱狂の渦中に登場したザ・タイガースの最初の作品として、日本の音楽シーンに大きな影響を与えた彼らの歴史の始まりを告げる重要なシングルとして位置づけられています。
関連項目
* 1967年の音楽
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