允恭地震

允恭地震について

允恭地震（いんぎょうじしん）は、日本の古代文学『日本書紀』に記載されている、歴史的に最古の地震として知られています。この地震は、允恭天皇の治世下、5年7月14日（西暦416年8月22日）に起こったとされており、当時の日本における政治的背景と深く関わっています。

記録の概要

『日本書紀』によると、地震が発生した日は、允恭天皇が前回の反正天皇の殯（もがり）を命じた翌日でした。地震が発生した晩、尾張連吾襲が殯宮の様子を探るために召されました。しかし、玉田宿禰という人物が不在であったため、天皇は彼を呼び出し、最終的に捕らえ、処刑してしまいます。この一連の出来事は、地震自体の被害状況を記録するものではなく、皇室内の政治的な混乱を示す重要な出来事として記されています。

地震の位置づけ

允恭地震は、記録に基づくと、政治事件としての側面が強調されています。地震の発生そのものに関する具体的な情報や、その影響はほとんど記されていないため、歴史学者の間でもこの地震の強度や影響については様々な見解が存在します。

特に、允恭天皇の皇居があった場所は遠飛鳥宮で、現在の明日香村にあたるとされています。このため、地震がこの地域で発生した可能性が考えられますが、実際の震源地や被害の有無については不透明です。

複数の記録

この地震に関する記録は『日本書紀』だけでなく、『熊野年代記』や『豊浜町誌』にも登場していますが、これらは『日本書紀』よりも後世に編纂されたものであり、出典や具体的な情報が欠如しています。また、類似の地震記録は、推古地震までの約200年間は見つからず、そのため一部の研究者は、允恭地震の強度を控えめに評価しています。

地震語の変遷

また、「なゐふる」という言葉は、この地震を指す古語ですが、国立国語研究所の調査によると、1903年以前に生まれた人々の中には、地震を「ない」や「なえ」と発音する方言が日本各地に見られることが確認されています。これは、地域ごとの言語の変遷を示す一例とも言えます。

地震の被害や具体的な振動の強さについてはあまり記されていないものの、判断としては、殯殿に異状がないかどうかを懸念した程度の地震と解釈されることが一般的です。これらのことから、允恭地震は単なる自然災害の記録ではなく、当時の歴史的背景や権力闘争を理解する上で重要な役割を果たすものと言えるでしょう。

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