元帥府

元帥府について

元帥府（げんすいふ、英語: Supreme Military Advisory Council）は、第二次世界大戦終戦前の日本において、天皇の軍事部門の最高顧問集団として機能していました。この機関は、陸軍や海軍の戦略に対する助言を行うことを主な目的としていました。

設立の背景

元帥府は1898年（明治31年）1月20日に制定された元帥府条例に基づき設置されました。この条例の策定に先立ち、1897年10月に参謀総長の小松宮彰仁親王が上奏し、重要な官職の設置などを提案しました。この時期、陸軍は世代交代の過渡期にあり、元老的な軍事指導者たちを現役にとどめる必要があると考えられたため、軍事顧問の機関が設立されることとなったのです。また、制度設計においては軍制への影響を避ける工夫が凝らされました。

元帥府の運用

元帥府が最初に機能し始めた頃は、元帥個々が比較的自由に意見を提出する形で運営されていました。しかし、山縣有朋といった特定の元帥に直接諮問がされることも多く、元帥府全体が統一性を欠く様子も見られました。文書によれば、「毎週火曜日」に参内することが定められており、実際には毎週金曜日に集まって会合を持つことになっていました。

元帥府の運営上、元帥たち全員の合意が重要視され、明治天皇もこの合議体に積極的に意見を求めました。特に、陸軍と海軍の整合性を保つことが強く求められており、陸軍省との意見の不一致が見られる場合もありました。1898年の陸軍の団隊編制を巡る議論の際には、参謀総長の大山巌と陸軍大臣桂太郎との間での覚書のやり取りがあったものの、元帥府における意見とは異なることがあり、これが問題となりました。

時代の変遷と形骸化

昭和10年代に入ると、元帥府のメンバーが皇族のみに限られるようになり、かつての機能を失いつつありました。さらに、大東亜戦争の戦局が厳しくなるにつれ、元帥府は名目上の存在となりました。1944年6月25日、初めて元帥会議が召集され、戦局の悪化に対処するための諮問が行われました。その後1945年8月14日には、ポツダム宣言受諾の是非についての諮問があり、陸軍の実情を踏まえた意見が交わされました。

廃止

元帥府は、1945年11月30日の陸海軍廃止と共に、その役割を終えることとなりました。

関連項目

• - 軍事参議官
• - 山縣有朋
• - 東郷平八郎

元帥府の歴史は、明治から昭和にかけての日本の軍事指導体制の変遷を反映しており、その実態は時代背景や政治的状況に大きく影響されていました。

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