元木昌彦

元木昌彦（もとき まさひこ）は、1945年11月24日生まれの日本の編集者、ライターです。早稲田大学商学部を卒業後、1970年に講談社に入社しました。

編集者としてのキャリア

講談社では、1990年に『FRIDAY』の編集長に就任し、その後1992年から1997年まで『週刊現代』の編集長を務めました。1999年には「Web現代」の編集長も担当しています。2007年には、「オーマイニュース」日本版の編集長に就任しましたが、翌年2008年に退任。その後、同社の社長も務めました。

人物と編集スタイル

元木氏の編集者としてのキャリアで特筆すべきは、『週刊現代』編集長時代です。当時、陰毛が写ったヌード写真を「ヘアヌード」と名付け、積極的に誌面に掲載しました。これは、それまでの日本のメディアではタブーとされていた表現に挑戦するものでした。

また、報道におけるタブーにも積極的に切り込み、1995年9月23日号では、創価学会に関する記事を掲載。この件で、創価学会から講談社とともに告訴されるという事態にもなりました。しかし、こうした挑戦的な編集姿勢が読者の支持を集め、『週刊現代』の部数は右肩上がりに上昇し、『週刊文春』を抜いて男性誌で2位となるほどの人気を博しました。

「オーマイニュース」での挫折とその後

「オーマイニュース」の編集長時代には、サイトの刷新を図りましたが、成果を上げることができずに約1年で退任しました。前任の鳥越俊太郎氏に続き、2代続けて編集長が退任するという事態になり、「オーマイニュース」はその後「オーマイライフ」として再出発を試みましたが、2009年に閉鎖されました。

大谷翔平報道に関する見解

編集長退任後には、大谷翔平選手の邸宅を巡る報道に関し、フジテレビジョンと日本テレビ放送網が取材を締め出された事件について、「12億円の豪邸や26億円ともいわれるハワイの別荘がどのようなものなのかを知りたいと思うのは、人間の本能である」とし、メディアの役割は読者や視聴者の欲求に応えることだと述べ、邸宅に関する報道を正当化しました。

また、大谷選手に対しては「プライバシーを守りたいのなら、大谷夫妻はドジャース球場に付設している宿泊施設にでも寝泊まりしたらどうだろう」と発言。両局に対しては、「土下座してでも大谷との関係を修復せよと上から厳命されているようだが、これではジャーナリズムが入り込む余地など全くない。取材対象に媚びへつらうだけが記者の仕事なのか」「テレビ局は大谷にではなく視聴率にひれ伏しているとしか思えない」と厳しく批判しました。

著書

元木氏は、多数の著書を執筆しています。

『日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた』（2003年）
『メディアを思う日々 編集者の学校 日が暮れてからの授業編』（2005年）
『週刊誌編集長…週刊現代・フライデー・Web現代編集長が明かす、スキャンダル、事件報道現場の3300日』（2006年）
『孤独死ゼロの町づくり』（2008年）
『競馬必勝放浪記』（2009年）
『週刊誌は死なず』（2009年）
『「週刊現代」編集長戦記』（2015年）

共著・編著

『編集者の学校』（2001年）
『編集者の学校 カリスマたちが初めて明かす「極意」』（2009年）
『日本の大事な話』（2005年）
『これが日本の本当の話』（2006年）
『裁判傍聴マガジン…日本初!』(2008年)
『「成り上がり」の人間学 逆風をパワーに変える「生き方の流儀」』(2008年)
『編集者の教室』(2010年)
* 『知られざる出版「裏面」史 元木昌彦インタヴューズ』(2016年)

元木昌彦は、その編集者としての経験と視点を活かし、メディア論や編集論を展開し続けています。

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