元永定正

元永 定正（もとなが さだまさ）

元永定正は、1922年11月26日に三重県で生まれた日本の著名な画家および絵本作家です。彼は特に前衛美術作家として知られ、国内外で高い評価を受けてきました。数多くの受賞歴を持ち、特に絵本制作においても独自のスタイルとアプローチで注目されています。

学生からプロへ

元永は地元の三重県上野商業学校を卒業した後、1938年に大阪で機械工具店に就職しました。彼は最初は漫画家になることを夢見ていましたが、職を転々としながらも絵画に目覚めました。1940年には大阪市にある中之島洋画研究所で洋画を学び、1944年には帰郷して地元の洋画家である濱邊萬吉に師事しました。この時、郵便局に勤めながら本格的に油彩画を始めることとなります。

芦屋市展での活躍

神戸に移住後、元永は芦屋市展に参加し、自身の作品を出展する機会を持ちます。彼は抽象画に取り組み、1955年に「寶がある」という作品でホルベイン賞を受賞しました。この時期に、数多くの抽象画が出品されており、元永もこの流れに影響を受けて作品を発表することになります。彼は1967年以降は渡米し、新たなスタイルを模索し続けました。

具体美術協会時代

具体美術協会のメンバーとして活動していた際、元永はユニークな絵本の制作に取り組みました。初期には抽象画を基にした絵本について否定的な意見も多く寄せられたものの、彼はそのスタイルを貫きました。また、1960年代からアメリカやイタリアといった国々での活動を通じて、国際的な舞台での評価を得ています。特に、色を透明な袋に入れた立体作品が彼の代表作として知られています。

絵本作家としての歩み

1970年からは絵本製作を開始し、ユーモラスなタッチを持ったアクリル画のスタイルで多くの作品を世に送り出しました。特に、谷川俊太郎とのコラボレーションによる『もこもこもこ』は人気を博し、絵本原画展も数多く開かれました。1980年代以降には、具体美術協会の再評価に伴い、国内外での展覧会に積極的に参加し続けます。

晩年と遺産

元永定正は1980年代以降、多くの賞を受賞しながら創作活動を続けましたが、2011年に前立腺がんのため88歳で亡くなります。彼の遺作は妻である中辻悦子によって大切に扱われ、多くの人々の記憶に残っています。

元永の芸術は、今なお多くの人々に影響を与え、彼の作品は様々な文化イベントや美術展で親しまれています。続けて彼の作品がどのように受け継がれ、後世に継承されていくのか、注目したいところです。

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