具体美術協会

具体美術協会：戦後日本美術を彩る前衛集団の軌跡

1954年、兵庫県芦屋市で誕生した具体美術協会は、戦後日本の美術史に大きな足跡を残した前衛芸術集団です。中心人物である画家、吉原治良を中心とした、意欲的な若手作家たちが集結しました。嶋本昭三、山崎つる子ら、個性豊かな面々が集まり、革新的な作品を生み出していきます。

協会の名称「具体」は、嶋本昭三による提案とされています。初期メンバーによる機関紙『具体』の創刊も、活動の活発さを物語っています。結成当初から、彼らは既存の美術概念を打ち破るべく、精力的に活動しました。近代絵画の伝統を継承するのではなく、全く新しい表現方法の模索に挑んだのです。吉原治良の「人の真似をするな。今までにないものをつくれ」という指導は、彼らの創作活動の原動力となりました。

具体美術協会は、芦屋公園での野外展「真夏の太陽にいどむ野外モダンアート実験展」や、デパート屋上での国際アドバルーン展など、従来の画廊にとらわれない斬新な発表方法を積極的に採用しました。これらは、単なる作品展示にとどまらず、観客との交流や、パフォーマンス性の高いイベントとして展開されました。東京や関西での展覧会開催、機関紙『具体』の発行など、多角的な活動を通じて、国内外に大きな影響を与えていきました。

特に注目すべきは、1958年に大阪で開催された「舞台を使用する具体美術展」です。この展覧会で発表された田中敦子の電気服は、大きな話題を呼びました。この作品は、当時としては極めて斬新な試みであり、具体美術協会がいかに実験的で、先鋭的な活動を展開していたかを示す好例です。

1960年代に入ると、ヨシダミノル、今中クミ子ら新たな世代の作家たちが加わり、ライトアートやキネティックアートといった新しい表現様式も取り入れられるようになりました。活動の幅はさらに広がり、多様な表現方法が模索されました。

1962年には、大阪に本拠地「グタイピナコテカ（絵画館）」が設立されます。ミシェル・タピエというフランス人美術批評家によって命名されたこの施設は、会員の個展や、国際的な芸術家との交流の場となりました。ジャスパー・ジョーンズ、サム・フランシス、イサム・ノグチといった著名な芸術家たちがグタイピナコテカを訪れ、具体美術協会との交流は国際的な広がりを見せました。

しかし、1970年の大阪万博開催直後、阪神高速道路建設のため、グタイピナコテカは閉鎖、解体されます。万博への出品や、万博会場での大規模なパフォーマンス「具体美術まつり」など、精力的な活動を展開した後、1972年に吉原治良の死去に伴い、具体美術協会は解散しました。

具体美術協会は解散した後も、その影響力は現代[[美術]]に及んでいます。初期の実験的な活動は、パフォーマンスアート、ハプニング、インスタレーションなど、現代[[美術]]の様々な分野に多大な影響を与えました。近年では、国内外で数々の回顧展が開催され、その作品は世界中のギャラリーで発表されています。具体美術協会は、戦後日本の美術シーンに革命を起こした、重要な前衛芸術集団として、今なお高く評価されています。その活動は、現代[[美術]]を考える上で欠かせない存在となっています。

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