元老院 (タイ)

タイの元老院について

タイの元老院（タイ語: วุฒิสภา, ウットティサパー）は、タイ王国国会を構成する二院制議会の一つです。かつては、その構成や選出方法において、大きな変遷を遂げてきました。

構成の変遷

初期の構成:
元老院は、当初、定数が人民代表院（下院）の4分の3以下であり、議員は国王によって任命されていました。任期は6年で、2年ごとに議員の3分の1が抽選で改選されるという制度でした。議員には35歳以上で、出生によるタイ国籍を有し、政党に属さず、学識のある者が任命されていました。

1997年憲法改正:
1997年の憲法改正により、元老院の構成は大きく変化しました。定数は200名となり、各県から国民の選挙によって選出される議員によって構成されるようになりました。任期は6年となり、県を一つの選挙区とする大選挙区制で2000年に初めて選挙が実施されました。選挙権は18歳以上、被選挙権は40歳以上で、出生によるタイ国籍を有し、学士またはそれに相当する教育を受けていることが求められました。公務員や政党の党員は立候補できず、上院議員は国務大臣になることもできませんでした。

2017年憲法改正と現在:
2014年の軍事クーデターにより、上院議会は解散となりました。その後、2017年4月に新憲法が公布・施行され、元老院の構成はさらに変化しました。議員定数は200人となりましたが、憲法施行から5年間の移行期間中は250人となり、そのうち6人は国軍最高司令官、陸海空軍の各司令官、防衛次官、警察長官に配分され、残りは国家平和秩序維持評議会（NCPO)による選任となりました。また、これまで下院議員の投票のみで決められていた首相指名選挙に、上院議員にも投票権が与えられ、下院500人、上院250人の合計750人の投票による選出となりました。

元老院の権限

元老院は、以下のような権限を有しています。

首相を下院に推薦する権限
国王の憲法裁判所の長官および司法官の任命に対する助言
総理大臣、国務大臣、下院議員、上院議員、憲法裁判所長官などの弾劾権

議席と院内勢力

現在の元老院の議席構成や院内勢力については、具体的な情報が不足しています。詳細については、関連する情報源を参照してください。

まとめ

タイの元老院は、その歴史の中で、構成や権限が大きく変化してきました。初期の国王任命制から選挙制への移行、そして軍事クーデター後の変化など、タイの政治情勢を反映する存在と言えるでしょう。今後の動向にも注目が必要です。

参考資料

蒲田亮平「タイ 軍政下でも安定を」（PDF）『ジェトロセンサー』2016年11月号、ジェトロ、2016年10月15日、68-69頁。

関連項目

国民議会 (タイ)
人民代表院

外部リンク

タイの元老院

もう一度検索