人民代表院

タイ人民代表院：変遷と役割

タイの人民代表院（สภาผู้แทนราษฎรไทย, Saphaputhan Ratsadonthai）は、同国の立法府である国民議会を構成する二院のうちの下院にあたります。タイの政治史において、人民代表院はクーデターや憲法改正の影響を受け、その設立と廃止を繰り返してきました。

歴史

人民代表院の歴史は、タイの政治的変遷と深く結びついています。以下にその主な出来事をまとめます。

1946年: 新憲法公布により、公選制の下院として初めて発足しました。
1952年: 一院制の国民議会が導入され、定員123名で構成されました。
1959年: サリット・タナラット将軍によるクーデターにより議会は廃止されました。
1968年: 議会が再設置され、定員は219名となりました。
1972年: タノーム・キッティカチョーン率いる軍事政権により議会は再び廃止されました。
1974年: 議会が再設置されました。
1976年: 一院制議会に移行し、定員360名で構成されましたが、議員は任命制でした。
1978年: 公選制の下院議会として再設置され、定員は301名となりました。
1991年: 再び一院制議会に移行し、定員292名で構成されました（任命制）。
1997年: 議会が再設置され、定員は500名となりました。
2006年: クーデター後、暫定憲章により一院制の国民議会（定員250名）が設立されました。
2007年: 新憲法公布に伴い、議会が再設置され、定員500名となりました。選挙制度は小選挙区比例代表並立制（小選挙区375、比例区125）が採用されました。
2014年: クーデターにより議会は解散しました。
2017年: 新憲法公布により、議会が再設立されました。

概要

人民代表院は、タイ国民の代表として立法活動を行う重要な機関です。議員の選出、任期、組織構造について以下に説明します。

選挙権と被選挙権

選挙権: 18歳以上のタイ国民に与えられます。ただし、新たに国籍を取得した者は5年を経過してから選挙権を有します。また、僧侶や修行者など出家者は選挙権の行使を停止されます。
被選挙権: 25歳以上のタイで出生した国民に与えられます。

任期

議員の任期は4年です。ただし、解散があった場合には任期満了前に議員資格を失います。

選出方法

2017年の憲法改正により、選挙制度は小選挙区比例代表併用制に変更されました。これにより、小選挙区で選出された議員と、比例代表で選出された議員が議会を構成します。

定数

人民代表院の定数は500名です。

役職

人民代表院には、議長、副議長、野党指導者などの役職があります。

議長: 国民議会議長を兼任します。職務遂行においては中立性が求められます。
副議長: 最大で2名まで選出できます。議長・副議長は政党の役員を兼務することはできません。
野党指導者: 閣僚を選出していない、総議員数の5分の1（20%）以上の議席を有する政党の党首（議員兼任）が任命されます。野党の総数が20%未満の場合は、野党議員の過半数の支持を得た野党党首が任命されます。

関連情報

人民代表院は、タイの政治システムにおける重要な要素です。その歴史、役割、組織構造を理解することは、タイの政治を理解する上で不可欠です。

関連項目:
国民議会 (タイ))
元老院 (タイ))
人民代表院 (ミャンマー)) - ミャンマー連邦議会下院
外部リンク:
* สภาผู้แทนราษฎรไทย （公式サイト）（タイ語）

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