兄島

兄島（あにじま）は東京都に属する無人島

兄島は小笠原諸島の一部で、父島列島に位置する無人島です。東京都小笠原村に属しており、主島である父島とは幅約800メートルの兄島瀬戸を挟んで接しています。この島は本来無人だったものの、1888年に二人の入植者が現れました。しかし、島の地形は岩がちで水の確保が困難なため、定住は続きませんでした。その後、大正時代には旧日本軍に買収され、現在は全域が国有地として管理されています。

空港建設と自然保護

小笠原諸島は本土からの距離が遠いため、アクセスの主な手段は船舶に限られていました。そのため、アクセス向上のための空港建設が要求されていました。兄島は父島の近くに位置し、中央部が平坦であるため、復興長期計画の一環として空港建設地に指定されました。

1987年、小笠原諸島の返還20周年式典で東京都知事が兄島への空港建設を発表しました。しかし、兄島は人間の定住が行われたことがほとんどなく、その自然環境の良好さから建設に反対の声があがることとなります。1991年には、研究者たちが空港建設地の調査を行い、ここに特有の乾性低木林が存在することを発見しました。さらに、父島や母島では既に絶滅した陸産貝類が10種以上生息していることも判明しました。

兄島は、父島、兄島、弟島の中で最も自然環境が良好で、小笠原諸島本来の生物多様性を保っていることが分かりました。1996年には環境庁が東京都に対し、空港建設計画の見直しを要請しました。その結果、東京都は小笠原環境調査委員会を設け、調査を行った結果、兄島全域が無条件保護・保全地域に指定され、そのため空港建設計画は頓挫することになりました。

現在、兄島では、貴重な生態系を守るための取り組みが行われています。特に、環境に影響を与える外来種、特にクマネズミの駆除計画が進められており、自然環境の保全が図られています。兄島は、貴重な生態系を持つ特別な地域として、今後も保護活動が重要視されていくことでしょう。

地形と面積

兄島の面積は7.87平方キロメートルで、いくつかの山があります。その中でも、最も高いのは254メートルの見返山です。他にも大丸山や立神山、尖山、菅笠山、北二子山、丸山など、自然の美しさを楽しむことができる地形があります。

兄島はその独自の生態系と自然環境から、訪れる人々に感動を与える素晴らしい島ですが、同時に保護の重要性が求められる場所でもあります。

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