児手柏包永

児手柏包永について

児手柏包永（このてがしわかねなが）は、鎌倉時代末期に活躍した手掻派の刀工包永によって作られた日本刀です。現在、この刀は茨城県水戸市にある徳川ミュージアムで大切に保管されています。

概要

児手柏は、大和国手掻派の刀工が手がけた作品で、特に細川幽斎が命名したことで有名です。この刀は、徳川家康が関ヶ原の戦いで佩刀したとも伝えられ、特に「水戸徳川家一の名刀」としてその名が知られています。さらに、室町時代から伝わる名刀の中でも408振のなかで最も重要な品の一つとされ、文化財として扱われ続けてきました。

実際、この刀は関東大震災により被災するものの、水戸徳川家は廃棄せずに文化財として受け継ぎ、現在も生きた歴史を感じさせる存在です。なお、震災後の刀は財団法人への寄贈基準を満たさなかったため、個人の所蔵品という形式で博物館に保管されています。

号の由来

刀の号である「児手柏」は、その刃文の特徴に基づいて命名されました。表面には乱れ刃が見られ、裏面は直刃となっています。この特徴は万葉集に詠まれた歌とも関係があり、細川幽斎が歌を契機として名付けたとされています。詳しくは、表裏が同じ色合いを持つ「コノテガシワ」という樹木に由来すると言われ、その背後にある自然と文化の結びつきを感じさせます。

来歴

大正期以前

細川幽斎が奈良の北部、奈良坂でこの刀を入手した当初の長さは、約82センチメートルに達しました。しかし、1573年には大きさを変更し、約69センチメートルとなっています。当初の銘はそのままとし、追加の銘を彫ることでこの刀の履歴がより強化されました。この刀は水戸徳川家に伝わり、利用されてきた歴史があります。

伝承では、細川幽斎がこの刀をもって戦に出ると必ず勝利したとされ、後に家康に献上されましたが、詳細は『名物牒』やその注釈書に異なる記述が見られるなど、この刀の歴史は非常に興味深いものとなっています。

関東大震災

1923年に発生した関東大震災では、当時保管されていた120本以上の刀剣が被災しましたが、実際には焼失せずに水戸徳川家によって保存され続け、その後徳川ミュージアムで公開されています。震災後、慰問として他の名刀が贈られ、これもまた水戸徳川家にとっての歴史的な一幕となっています。

現在の状況

近年、徳川ミュージアムは児手柏包永をはじめとする被災刀剣の登録を目指し、歴史を次世代に伝える取り組みをしています。また、刀に関連する展示やプロジェクトも行われており、その継続的な保存活動が注目されています。特に、月山貞利という刀匠による写しが作られ、展示されるなど、刀の魅力が新たに広がっています。

刀身について

この刀は全長約69.1センチメートルで、刃の表面には大模様の乱れ刃が特徴的です。刀身の美しさと技術の高さがうかがえ、紋様が非常に印象的です。さらに、細川幽斎による銘刻も見事で、刀の文化的な価値を一層高めています。

このように、児手柏包永は日本の伝統文化を象徴する一品であり、歴史の深みと共に多くの人々に愛され続けています。

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