コノテガシワ

コノテガシワ：子供の手のような葉を持つ常緑樹

コノテガシワは、ヒノキ科コノテガシワ属に分類される常緑針葉樹です。中国原産で、世界各地で観賞用として親しまれています。和名の由来は、その独特な枝ぶりからきています。垂直に伸びる枝は、まるで子供が掌を上に広げているかのようであり、この様子から「児の手柏（このてがしわ）」と名付けられました。

コノテガシワの特徴

コノテガシワは高さ2～10メートルに成長する低木から高木まで様々な大きさがあり、中には高さ20メートルに達するものも存在します。樹皮は赤褐色から灰褐色で、薄く剥がれるのが特徴です。若い木は卵状円錐形ですが、成長すると球状になります。

もっとも特徴的なのは、その葉です。鱗状の葉が十字対生に密生し、小枝全体を扁平に覆っています。ヒノキやサワラのように小枝が水平に伸びて表裏の区別があるのとは異なり、コノテガシワの小枝は垂直に伸びており、表裏の区別がありません。葉の色はくすんだ緑色で、光沢はありません。

花期は3～4月で、雌雄同株です。雄花は黄緑色から黄褐色で卵形、雌花は淡紫褐色から青緑色で半球形をしています。秋には、赤褐色の球果が熟し、中には翼を持たない種子が含まれています。

分布と生育環境

コノテガシワの原産地は中国北部と考えられていますが、古くから各地で植栽されており、正確な自生地は特定が困難です。現在では、中国をはじめ、中央アジア、ロシア東部、朝鮮半島、日本、ヨーロッパ、中近東、北米など、世界中で観賞用として植栽されています。日当たりの良い場所を好みますが、乾燥にもある程度耐えることができます。

人間との関わり

観賞用

コノテガシワは、その美しい姿から古くから観賞用に利用されてきました。公園や庭園、生垣、鉢植えなど、様々な場所で栽培されています。特に矮性品種は人気が高く、剪定によって様々な樹形に仕立てることができます。葉色のバリエーションも豊富で、黄金色や灰緑色など、様々な品種があります。

代表的な園芸品種には、「センジュ」「オウゴンコノテ」「コレンス・ゴールド」「ローズダリス」「エレガンティシマ」などがあります。それぞれの品種は樹高や葉色、樹形などが異なり、用途に合わせて選ぶことができます。

薬用

コノテガシワは薬用植物としても利用されます。葉は「側柏葉（そくはくよう）」、種子は「側柏仁（そくはくじん）」と呼ばれ、止血、止瀉、鎮静などの効果があるとされています。側柏葉は煎じて服用したり、浴湯料として利用したりします。側柏仁は、粉末にして飲み物に混ぜたり、煎じて服用したりします。ただし、服用には注意が必要で、体質によっては副作用が出る可能性があります。

文化的意義

中国では、古くからコノテガシワは王侯貴族の墓所に植栽されたり、正月のお守りとして利用されたりしていました。日本でも、古くから親しまれており、『万[[葉集]]』にも詠まれている可能性があります。

まとめ

コノテガシワは、その美しい姿と薬効から、古くから人々に利用されてきた植物です。観賞用としては、様々な園芸品種があり、初心者でも簡単に育てることができます。薬用としては、止血や鎮静などに効果があると言われていますが、利用する際には注意が必要です。これからも、世界各地で観賞用や薬用として、人々の生活に寄り添っていくことでしょう。

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