児童の発達

児童期の発達

児童期とは、一般的に小学校に通う6歳から12歳までの期間を指します。この期間は、子どもの発達において重要な転換期であり、身体的、精神的、社会的に大きく変化する時期です。本稿では、小学校低学年（1～2年生）、中学年（3～4年生）、高学年（5～6年生）の3つの時期に分け、それぞれの発達段階の特徴を詳しく見ていきます。

小学校低学年（1～2年生）

この年齢の子どもたちは、学校生活への適応に多くの時間を費やします。45分間の授業に集中して座っていること、文字や数字といった抽象的な記号を理解することに苦労する子もいます。具体物を使った学習が不可欠であり、教師は、教育者であると同時に、子どもたちにとって生活の中心人物として、きめ細やかな指導が必要です。友達関係は、近所の子や席が近い子など、比較的単純な基準で形成されます。友達とのトラブルは、直接的な暴力（叩く、蹴るなど）が一般的で、その原因も比較的分かりやすいものです。

絵画表現においては、遠近感を表現するための基底線（ベースライン）を使い始めるものの、その理解が不十分なため、屋根から煙突が直角に伸びていたり、肩から手が直角に伸びていたりといった、視点の混同が見られます。文字の習得とともに、絵を描くことに対する関心が一時的に低下する傾向があり、その場合は、形や色を重視した表現を促すことが重要です。

小学校中学年（3～4年生）

中学年になると、子どもたちは集団で遊ぶようになり、教師だけでなく、クラス全体を意識した発言をするようになります。体力が充実する一方で、ブランコから飛び降りたり、階段を駆け上がったりといった、骨折などの大きなケガをするリスクも高まります。知的関心が広がり、社会問題について考えるようになり、他者の気持ちを読み取る能力も発達します。

この時期は、論理的思考や規則への意識が強まる一方、さぼりやルール違反に対して厳しくなるため、告げ口が増える傾向があります。集団の中では、仲間意識が強まり、仲間との約束が大人との約束よりも優先されるようになり、大人に対して秘密を持つようになるなど、集団の中で自立していく過程が見られます。また、女子児童においては思春期が始まる子もいます。絵画表現では、より精密な描写を心がけるようになり、鼻の穴や耳の穴といった細部まで描き込むようになりますが、正面からの視点に固執する傾向が見られます。

小学校高学年（5～6年生）

高学年になると、児童期の発達における完成期に差し掛かり、責任感や実行力、クラスや学校全体を見渡す力が身についてきます。リーダーシップを発揮して、下の学年の児童を指導することもできるようになります。しかし、学習内容が抽象的になり形式的な操作を必要とするようになるため、学力差が顕在化し、10歳の壁と呼ばれるような困難に直面する児童もいます。

この時期は、自己中心性を脱却し、他者の視点に立って物事を考えられるようになる一方で、教師の評価基準に自分を合わせようとするため、絵や作文などの創造性が一時的に低下することがあります。これは、バーンズ高原と呼ばれ、客観的に自分自身を評価できるようになる過程で起こる現象です。男子児童においては多くの児童が、女子児童においてはほとんどの児童がこの間に思春期を迎え、身体的変化とともに、大人や社会に対する反発心が強まる傾向があります。

まとめ

児童期の発達は、段階的に変化する連続的な過程であり、各発達段階において、子どもたちは身体的、精神的、社会的に大きく成長していきます。教育現場では、それぞれの発達段階を理解した上で、子どもたちの個性と可能性を伸ばす教育を実践することが重要です。それぞれの年齢段階に応じた適切な指導やサポートを提供することで、子どもたちが健やかに成長し、将来社会に貢献できる人材へと育つことができるよう、支援していくことが重要です。

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