入江・高砂貝塚

北海道洞爺湖町、内浦湾を見下ろす台地上に位置する入江・高砂貝塚は、縄文時代前期末から晩期中葉（紀元前3500年-紀元前800年頃）にかけての貝塚を伴う遺跡です。1988年に国史跡に指定、2021年には「北海道・北東北の縄文遺跡群」としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。

遺跡の構成

遺跡は、貝塚の他、竪穴建物跡（縄文時代前期から後期のものが多い）、土坑墓などで構成されています。出土品としては、貝類の他に海獣や魚類の骨が豊富に見つかっており、当時のこの地域における漁労文化の発達を如実に示しています。

貝塚は入江貝塚と高砂貝塚に分かれており、それぞれ異なる特徴を持っています。

入江貝塚: 縄文時代前期末の人骨4体、中期のものが4体、後期初頭のものが7体、計15体分の人骨が出土しています。
高砂貝塚: 後期初頭の土坑墓が1基、晩期中葉のものが28基出土しています。

特筆すべきは、イノシシの牙で作られた製品やオオツタノハガイ製貝輪など、北海道では本来入手できないはずの品々が出土している点です。これらの出土品は、当時この地域が本州など他の地域と盛んに交流していたことを示唆しています。

入江高砂貝塚館

遺跡のガイダンス施設として、入江高砂貝塚館が設置されています。ここでは、入江貝塚や高砂貝塚から出土した貴重な遺物を展示しており、縄文時代の生活や文化に触れることができます。

所在地: 虻田郡洞爺湖町高砂町44

貝塚の写真

入江貝塚

高砂貝塚

入江・高砂貝塚は、縄文時代の北海道における人々の生活、文化、交流を知る上で非常に重要な遺跡です。世界文化遺産としての登録は、その価値が国際的にも認められたことを意味します。貝塚館を訪れ、悠久の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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