入江駅

入江駅の概要

入江駅（いりええき）は、かつて神奈川県の横浜市神奈川区にあった日本国有鉄道（国鉄）東海道本線貨物支線の駅であり、通常高島線または新興線と呼ばれていました。駅の所在地は守屋町3-14で、貨物専用として利用されていた事が特徴的です。その電報略号は「イリ」とされていました。

この入江駅は京浜工業地帯の中心に位置しており、その周辺には多くの工場が立ち並んでいました。このため、駅へは多くの専用線が接続しており、貨物の輸送が非常に盛んでした。特に1970年代には、駅の東側にあった麒麟麦酒の横浜工場や、日本石油精製（今のENEOS）の横浜製油所第一工場、安田倉庫、日本配合飼料、太陽油脂、さらには出田町埠頭に向けた専用線がそれぞれ分岐しており、活況を呈していました。

しかし、時間が経つにつれ鉄道による貨物輸送は次第に衰退し、専用線も少しずつ廃止されていくことになります。その結果、入江駅の貨物取扱量は減少し、1985年3月14日には隣駅である新興駅に併合され、正式に廃駅となりました。この後も新興駅が存続していましたが、新興駅も2010年に廃止されてしまいました。入江駅の駅舎は、新興駅の跡地に京浜急行バスの新子安営業所として使用されることになりました。

また、新興駅が入江駅の構内として扱われていた時期にも、日本石油精製専用線はパラフィンなどの貨物を発送していましたが、こちらも1999年10月には廃止されました。

入江駅の歴史

入江駅の歴史は1917年に遡ります。この年の6月17日には入江信号所が開設され、その後1922年4月1日に入江信号場へと改称され、さらに1929年9月15日には貨物駅として正式に開業しました。その後1934年には新興駅に分岐する貨物支線が開通し、駅の重要性が高まりました。しかし、1949年には小口扱貨物の取扱いを廃止し、次第に業務が縮小されていきました。

本駅の最盛期を経て、1985年に新興駅に併合される形で廃止となりましたが、その後も長い間この地域の工業を支えてきたことは言うまでもありません。入江駅の存在は、地域の発展と鉄道貨物輸送の歴史においても重要な役割を果たしました。近代の鉄道貨物輸送の変遷を考える上でも、入江駅の歴史は多くの示唆を与えるものとなっています。

駅周辺の施設

入江駅周辺には、日本ビクターの本社工場と入江工場、安田倉庫に加え、またJR東日本新子安駅も近くに位置しています。これらの工場群は、地域の経済活動の中心となり、多くの人々に利用され続けています。入江駅の存在は、その周辺の工業地帯の発展に大きな影響を与えたといえるでしょう。

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