入浴剤

入浴剤：その歴史、種類、そして市場

入浴剤は、入浴時に浴槽の湯に添加する物質で、芳香剤入りの浴用塩など、様々な形状と種類があります。固形、粉末、液体など、多様な形態で販売されています。

入浴剤の種類

大きく分けると、天然植物や漢方薬、温泉成分抽出物、無機塩類化合物の3種類に分類されます。これらの組み合わせも存在します。日本においては、法律上、化粧品（浴用化粧品）、医薬部外品、医薬品のいずれかに分類され、市販品は主に医薬部外品に該当します。医薬部外品は医薬品と同様、効果効能の表示が認められています。

入浴剤の歴史

入浴剤の歴史は古く、紀元前2700年には中国で塩の抽出法や使用方法に関する書物が存在したという記録があります。古代ギリシャの医師ヒポクラテスも海水浴による治療を行っていたと伝えられています。

日本は温泉大国として知られ、入浴剤の起源は天然温泉や薬用植物による薬湯にあります。古代エジプトでは香油や花と共に入浴する習慣があり、古代メキシコでも薬草を用いた入浴が一般的でした。日本でも薬用植物を用いた薬湯が古くから利用され、江戸時代には皮膚病治療にも用いられていました。菖蒲湯や柚子湯などもその例です。明治中期には、種々の生薬を配合した入浴剤が商品化されました。

植物・漢方薬由来の入浴剤

古来より、薬草や植物の薬効を活かした入浴が世界各地で行われてきました。日本においても、菖蒲湯や柚子湯などの風習が現在まで残っています。江戸時代には、皮膚病治療のための薬湯が処方されることもありました。近年では、温泉地の名物として、地元産の果物などを用いた入浴剤も登場しています。

温泉成分由来の入浴剤

明治時代以降、天然温泉成分を乾燥、粉末化したものが商品化されました。代表例は湯の花で、温泉の効能を遠隔地でも享受できることから人気があります。湯の花は温泉水から採集されたものと、青粘土などから析出させたものがあります。ただし、硫黄分が多い湯の花は風呂釜を傷める可能性があるため注意が必要です。一部の温泉地では、温泉水を加工した液体の入浴剤も製造されています。また、「ラジウム鉱石」を配合した製品も存在しますが、高価なため、主に業務用として利用されています。一部の製品は医薬品として認証されています。特定の温泉成分を再現した「温泉の素」と呼ばれる製品も多く販売されています。

無機塩類化合物由来の入浴剤

昭和初期に登場した無機塩類化合物由来の入浴剤は、日本国内で最も一般的なタイプです。安全性が高く品質が安定している温泉成分を基材としています。高度経済成長期以降、家庭への風呂普及と健康志向の高まりにより市場が拡大し、炭酸ガス系、温泉タイプ、スキンケアタイプなど様々な製品が登場しました。粉末と錠剤が市場の大半を占め、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが主要成分です。これらの塩類は保温効果を高めるといわれています。炭酸ナトリウム配合の製品は発泡性があります。美容効果や健康増進を目的とした、酵素や植物エキス配合製品も数多く発売されています。ただし、温泉名を使用している製品であっても、成分が必ずしもその温泉を再現しているわけではありません。

入浴剤の原料

手作り入浴剤や市販入浴剤の原料は多岐に渡ります。

液体系

牛乳、豆乳、酒、茶、化粧水、とぎ汁、蜂蜜、ベビーオイル、香水、香油、酢など。

ハーブ系

果皮（リンゴ、レモンなど）、香辛料（生姜、唐辛子など）、ハーブ（紫蘇、ペパーミントなど）。

固形物

食塩、バスソルト、重曹、クエン酸、湯の花など。

まとめ

入浴剤は、その歴史と多様性、そして市場規模において、人々の生活に深く関わっています。今後も、新たな成分や機能を備えた製品が登場し、進化を続けるでしょう。

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