全上古三代秦漢三国六朝文

『全上古三代秦漢三国六朝文』（ぜんじょうこさんだいしんかんさんごくりくちょうぶん）は、清の厳可均（げんかきん、1762-1843）によって編纂された大規模な文集です。全15集741巻から構成され、古代中国の文献研究における重要な資料となっています。

概要

1808年、清朝廷は『全唐文』の編纂を開始しましたが、厳可均はこれに参画できませんでした。そこで彼は、『全唐文』に収録されない時代の文集を独自に編纂することを決意しました。

『全上古三代秦漢三国六朝文』は、『全唐文』の体例を踏襲しつつ、原則として詩は収録せず、現存する経・史・子部の本文を除外しています。特筆すべきは、『全唐文』とは異なり、各文献の出典を詳細に記録している点です。

厳可均以前にも、明代の梅鼎祚『歴代文紀』や張溥『漢魏六朝百三家集』といった同様の著書が存在しました。『全上古三代秦漢三国六朝文』には、これらの書籍の目録も収録されています。

厳可均の生前には出版されませんでしたが、両広総督の張之洞が広州に広雅書局を設立し、王毓藻に校訂を命じたことで、光緒18年（1893年）にようやく出版されました。

中華民国時代には、丁福保が広雅書局本を影印出版し、さらに『全漢三国晋南北朝詩』を編纂するなど、本書は後世の研究に大きな影響を与えました。

構成

『全上古三代秦漢三国六朝文』は、時代によって15の集に分類されています。各著者の略伝が付されているのも特徴です。

全上古三代文（16巻、206人）：先秦時代の文献を収録。
全秦文（1巻、16人）
全漢文（63巻、334人）
全後漢文（106巻、470人）
全三国文（75巻、294人）
全晋文（167巻、830人）
全宋文（64巻、278人）
全斉文（26巻、131人）
全梁文（74巻、204人）
全陳文（18巻、63人）
全後魏文（60巻、302人）
全北斉文（10巻、84人）
全後周文（24巻、61人）
全隋文（36巻、168人）
先唐文（1巻、54人）：時代不詳ながら唐以前の文献を収録。

その他

銭鍾書の学術書『管錐編』（1979年出版）の後半部分は、『全上古三代秦漢三国六朝文』の研究に基づいて書かれています。このことからも、本書が中国古典研究に与えた影響の大きさが窺えます。

『全上古三代秦漢三国六朝文』は、古代中国の文化、思想、歴史を研究する上で欠かせない文献であり、その学術的価値は今日においても高く評価されています。

外部リンク

全上古三代秦漢三國六朝文 - 中國哲學書電子化計劃

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