全会一致

全会一致(ぜんかいいっち)



全会一致とは、特定の集団において反対意見を持つ人がいない場合に意見をまとめ、その結果を正式な決定として採用することを指します。このプロセスは、満場一致とも呼ばれ、集団が合意に達するための重要な手段の一つです。

全会一致の原則



一部の集団では、全会一致によって認められた結論のみが議決として有効とされる全会一致の原則が採用されています。ここで注意すべきは、「全会」の意味です。集団に所属するすべてのメンバーが完全に合意している必要があると解釈される場合もあれば、実際に意思表示をしたメンバーのみが一致していれば良いとする場合もあります。たとえば、日本の閣議の場合、前者の見解が取られることが一般的ですが、国会での投票は後者に該当します。

日本の国会では、反対派が抗議のために欠席し、出席者の60%のみが賛成する場合でも、全員が賛成の姿勢を示すことで記録上は「全会一致」とされます。このような場合、全会一致の扱いは議事進行を円滑に進める上で有利な手段とされていますが、粘り強い議論の結果として反対意見が存在しないことを求める場面もあります。

慣例と手続き



議事進行や役職者の選任に関連するケースでは、全会一致が期待される場合、発声採決により迅速に進行することがよくあります。特に日本の議会では、この「異議なし採決」が全会一致として記録されることが一般的です。これにより議論が円滑に進められ、決定が速やかに下されます。

全会一致が採用されている事例



全会一致の原則が採用されている具体例としては、以下のようなものがあります。

日本の国会においても、証人喚問や参考人招致、衆議院・参議院の議長選出などで全会一致が求められますが、最近ではこれらの慣行が破られることも増えているのが実情です。また、自由民主党の総務会等でも、意見の対立がある場合、意見を持つ総務は反対の意見表明を行った後に退席することが多く、その結果、全会一致が得られない場合もあります。

さらに、アメリカ合衆国の上院においては議決は多数決の方式が取られていますが、手続き上は全会一致決議によって省略される場合が多いため、迅速な議論が求められる傾向があります。

全会一致に関する批判



日本人作家、山本七平は全会一致の決定が場の雰囲気に影響され、反対意見が封じ込められることがあると指摘しています。同様に、中国では政治的な場面で意図的に反対票を投じる慣習が存在するとされ、これは謙虚さや忠誠心を示す意図があると言われています。最近では、習近平国家主席が全会一致を求める風潮に対しても警鐘を鳴らしています。

全会一致は、集団の意思決定の一側面ですが、時としてその背後には少数派の意見が抑圧されるリスクも含まれていることを考慮する必要があります。

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