全商情報処理検定

全商情報処理検定は、公益財団法人全国商業高等学校協会（全商協会）が主催し、情報処理に関する基礎的な知識と技術を評価するための検定試験です。「ぜんしょうじょうほうしょりけんてい」と読み、主に商業高校の生徒が受験していますが、情報処理の分野に関心のある幅広い層に門戸が開かれています。この検定は、将来、情報処理技術者試験などのより専門的で高度な資格取得を目指す上での第一歩、あるいは情報社会で必要とされる基本的なITリテラシーを証明する手段として位置づけられています。

概要

受験資格: この検定は、年齢、学歴、国籍などによる受験資格の制限が一切ありません。誰でも自由に受験を申し込むことができます。

試験日程: 試験は年2回、特定の月に実施されます。原則として、毎年9月と1月の第5日曜日が試験日となります。ただし、該当する月に第5週目がない場合は、9月は第4日曜日、1月は第3日曜日にそれぞれ前倒しして実施されます。

受験料: 受験する級によって費用が定められています。現在、1級（ビジネス情報部門、プログラミング部門のいずれか）は1,800円、2級（ビジネス情報部門、プログラミング部門のいずれか）は1,500円、そして3級は1,300円です（いずれも消費税込み）。一人の受験者が複数の級を受験することも認められていますが、その場合は受験する級の数に応じた受験料の合計額を支払う必要があります。

申込方法: 受験申し込みの主な方法は、高校生と一般受験者で異なります。商業高校などに在籍している生徒は、通常、学校が一括して受験申し込みの手続きを行います。学校が試験会場となっている場合は特にこの形が一般的です。一方、一般の受験者や、学校が試験会場でないために一般扱いとなる高校生は、希望する試験会場（主に商業高校などが会場となります）に直接申し込む形となります。この場合、会場で配布される所定の受験申込書に必要事項を記入して提出します。申込書には証明写真（履歴書サイズ）を貼付する欄が設けられていますが、試験会場によっては写真が不要な場合や、試験当日に写真付きの身分証明書の提示を求められる場合があります。申し込みを行う際は、事前に試験会場からの指示をよく確認することが重要です。

試験内容と形式

全商情報処理検定は、「ビジネス情報部門」と「プログラミング部門」の二つの部門に分かれています。3級はこれらの部門共通の基礎的な内容が出題されますが、1級と2級はそれぞれの部門に特化した試験内容となります。

特にプログラミング部門においては、時代の変化に伴い、使用されるプログラミング言語が変更されてきました。かつてはVisual Basic（VB）やCOBOLといった言語も出題対象でしたが、これらはそれぞれ2013年1月実施回、2014年1月実施回をもって廃止されています。

近年では、令和4年度（2022年度）の試験から大きな変更点がありました。3級では、それまでの出題内容に加えて、アルゴリズムを視覚的に表現する「流れ図」に関する問題が新たに追加されています。また、1級および2級のプログラミング部門では、それまで選択肢の一つとして存在したJavaが廃止され、出題言語が「マクロ言語」に一本化されました。これにより、プログラミング部門の受験者はマクロ言語に焦点を絞って学習を進める必要があります。

合格について

合否の判定は、各級100点満点中70点以上の得点をもって合格となります。

合格発表の日程は、受験した試験会場によって異なります。早いところでは試験実施日から5日程度で発表される場合もあります。

* 合格証書の交付についても、会場によってスケジュールが異なり、試験実施日から最長で3ヶ月程度かかる場合があります。

検定の位置づけと関連資格

全商情報処理検定は、情報処理の基礎を固めるための検定として、商業高校生を中心に広く認知されています。この検定で培った知識やスキルは、ITパスポート試験や基本情報技術者試験といった、情報処理技術者試験制度に属する資格など、さらにレベルの高い情報処理関連資格を目指す上での確かな土台となります。情報化社会が進展する中で、基本的な情報処理能力は様々な分野で求められており、この検定の合格は、その能力を客観的に証明するものとして、学習やキャリア形成において役立つでしょう。

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